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「なぁ相棒。さっき言った事、本気なか?」 丘に一人、男が佇んでいた。 黒いコートと帽子に身を包んだ巨漢の剣士。 これから来る戦いに動じる事もなく、静かにその時を待っている。 「絶対無理だって、いくらお前ぇが強いからってそりゃ無理ってもんだ」 そう語るのは彼の背負っている一振りの剣。 意思を持つ剣、インテリジェンスソードのデルフリンガーだ。 「問題ない。我々のするべき事は敵の殲滅ではなく足止めだ。味方が艦に乗り、無事に脱出するまでの時間を稼げればいい。 それならば敵陣を混乱させるだけで十分効果が出る。我々だけでも可能だ」 「バカ! そっちじゃねぇよ!」 デルフリンガーは声を荒げた。 「お前ぇさっきあの嬢ちゃんと約束しただろ、絶対に生きて帰るって。そりゃお前ぇは強ぇさ。 素手でゴーレムを砕けるくらいにバカ力だし、体はドラゴンの皮膚みてぇに頑丈だし、オマケに空だって飛べちまう。 だがな、今回の相手は七万の軍勢だ。片っ端から指揮官を狙ってけば足止めくらいは可能だろうが、生きて帰るなんてのは絶対に無理だ」 そう、この男はこれから七万の敵アルビオン軍と対峙し、味方が逃げるまでの時間を稼がねばならない。 元々は彼の今の主人であるルイズの役目なのだが、彼がルイズを説得し、自らが戦場に立つ事を望んだのだ。 そして彼は約束した。 必ず生きて帰ると。 「6千年も生きてる俺が言うんだ、間違いねぇ。相棒はこの戦いで……」 「デルフ」 と、その男は区切り、静かに続けた 「男はいかなる困難においても希望の光を探すことを忘れてはならない」 連合軍の船内には次々と敗走する味方軍で溢れかえっていた。 この状態は明後日まで続くらしい。 そしてその船内の一室に膝を抱えてベッドに蹲っているルイズの姿があった。 「ジェイ……本当に生きて帰ってくるよね」 ルイズは自分の使い魔との会話を思い出していた。 それは自分が敵軍を抑える捨石となる事を宣告された時の事だ。 「私が行こう」 「え?……」 ルイズは一瞬、自分の使い魔が言った事をちゃんと理解できなかった。 だがすぐにわかった。 彼は『私が』行くと言った。 つまり、こう言っているのだ。 ルイズの変わりに自分が敵を足止めすると。 「ちょっと待ってよ!これはわたしが受けた役目よ! あなたはすぐにみんなと一緒に脱出しなさい」 「それは出来ない」 「どうしてよ!」 「今のルイズでは敵を足止めする事は出来ない。だが私なら可能だ。守るべき存在を危険に晒す事は出来ない」 ルイズは言葉を続けようとした。 『そんなことはない! 自分にだって出来る』と。 だが、その言葉はついに喉から出る事はなかった。 ジェイの言う事はいつだって正しかった。 ジェイは絶対に嘘を言わない。 そして、いつも全力でわたしを助けてくれた。 ならば、これも本当の事なのだろう。 「でも……でも……」 ルイズは泣き出した。 自分に虚無の力があるとわかって、やっと認めてもらえた自分の力を正しい事に使いたくて、 そしてアンリエッタの役に立ちたくてここまでやってきた。 それが、みんなを助けなきゃいけない一番大事なときに無力な自分が許せなかった。 「勇気と無謀を混同してはならない。可能性のない勇気を無謀と呼ぶ。ルイズ、今お前が行おうとしているのは勇気ではない」 「そんなのわかってる! わたしが足止めしたって大した役には立たないって事ぐらい! でも私は貴族なの! たとえ死ぬとわかっていても、行かなきゃいけないの! 貴族の誇りにかけても!」 「死ぬ事は誇りではない。それは愛すべき人々を悲しませる罪だからだ。真に誇るべきは、愛すべき人々に自分の無事な姿を見せ、共に触合う事だ」 ルイズはその言葉にはっとして、自分の使い魔を見上げた。 ほとんど表情を変える事がない顔。 ただ、朝自分を起こしたあとにはいつも 「キュートだ、エンジェル」 という決まり文句と一緒に笑顔を向けてくれる。 ジェイが召喚されてからは、いつもその言葉を聞くのが楽しみになっていた。 説教臭くて、いつも少女はどうのとか男はどうのとか言ってご主人様である私にまで一々意見する。 でも今ならわかる。 それは全部自分の為を思って言ってくれた事なんだって。 誰よりも強く、誰よりも自分の事を理解してくれる、最高の使い魔。 彼は自分に召喚された事に文句を一切言わなかった。 そして幾度となく自分を助けてくれた。 いきなり違う世界から自分に召喚されてしまったというのに。 「どうして……どうしてそんなにわたしの為にしてくれるのよ!? わたしはあなたを無理矢理呼び出して使い魔にしたのよ! そんなわたしにどうして……どうして……」 「男は一度口にした約束は守らねばならない」 「約束?」 「私はルイズの使い魔になると約束した。そして使い魔は主人を守らねばならない」 そう言うと彼は作戦場所である丘へと向かおうとした。 「待って!」 ルイズは叫んだ。 もう彼を止める事は出来ない。 どんな風に言っても彼は七万の軍勢と戦うだろう。 ならばせめて、自分に出来るのはこのくらいだ。 「どうしても行くのよね? わかった、もう止めないわ。でもこれだけは約束して! 必ず生きて帰ってくるって!」 「それは保障できない。今回の作戦で私が大破する事無く戻れる確立は……」 「いいから約束して!」 ルイズは目に涙を浮かべて訴えた。 「……わかった。約束しよう」 そう言うと、今度こそジェイは丘へと向かって歩き出した。 わかっている。 彼は自分を安心させる為に言ったのだ。 けど、それでも彼ならその約束すらも守って見せるだろう。 いままでジェイが約束を破った事など一度もないのだから。 だが、だが万が一、二度と戻ってこなかったら…… 彼女は祈った。 始祖ブリミルに、そして彼自身に。 「お願い、無事に帰ってきて! わたしの……わたしだけの……」 嵐が吹き荒れた。 アルビオン軍の者達にはそうとしか思えなかった。 突然空から落下してきた黒い塊。 それが降り立った場所から次々と悲鳴が沸き起こる。 それの存在を最初に確認した指揮官の男は、次の瞬間には激痛と共に意識を手放していた。 敵陣の中央降り立った次の瞬間にはジェイは動いていた。 その疾風の如き速度で一気に敵指揮官の一人の前に立ち、その拳を叩きつけて気絶させた。 さらに次、さらに次へと指揮官だけを正確に狙い、どんどんその数を減らしていく。 指揮官を失った部隊は統制を失い、混乱して一部では同士討ちが始まっていた。 無論、敵とてただやられているわけではない。 剣が、槍が、銃弾が、そして数々の魔法がジェイに襲い掛かる。 だが、それらは全てが効果がなかった。 剣はその体を斬る事が出来ず、槍はその身に突き刺さる前に折れ、銃弾は当たると同時に弾かれた。 そして魔法は全て、その正確無比な動きで全てデルフリンガーに吸収されていった。 アルビオン軍は恐怖した。 決して捉える事の出来ない圧倒的な速さ。 決して止める事の出来ない凄まじい力。 決して傷つける事の出来ない強靭な肉体。 まるで小さなドラゴンを相手に戦っているような気分であった。 そして恐怖は次々と感染していき、混乱は恐慌へと変化していった。 だが、その中で将軍たるホースキンだけが冷静に敵を打破する為の作戦を練っていた。 「相棒、奴が敵将だ。あいつをやればこの作戦、完璧に成功だぜ」 「確保する」 ホースキンの姿を確認したジェイはすでに走りだしていた。 これでホースキンを気絶させれば任務は達成される。 そのはずだった。 突如、ジェイの目の前に地面から競り上がった壁が現れた。 おそらく錬金による物だろう。 ジェイは構う事なく走り、その突進で壁を砕き割った。 が、ジェイの進行はそこで止まった。 ジェイの進行を阻んだのは壁ではない。 その壁の後ろに隠れていた数十体もの鋼鉄のゴーレムの体当たりだ。 いかにジェイの力が並外れているとはいえ、これだけのゴーレムをすぐに破壊する事は出来ない。 壁はジェイの視界を遮り、ジェイのスピードを落とす為の物だったのだ。 全てはホースキンの作戦だった。 ホースキンは事態を察知し、歴戦の将としての感で敵がどのような存在なのかを見極めた。 そしてすぐに最も有効的な策を導き出し、副官に土系統と火系統のメイジを後方に集めさるよう指示したのだ 「放て!!」 ホースキンの号令と共にスクウェア、トライアングルクラスの炎が次々と放たれる。 「相棒! あれはやべぇ、逃げろ!」 が、すでにゴーレムに囲まれ、全身を抑えられたジェイにゴーレムを破壊して逃げるだけの時間はなかった。、 次の瞬間、数十対のゴーレムと共にジェイは轟音と共にその炎に包まれた。 「相棒ぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉ!!!」 デルフリンガーの声が戦場に響いた。 「黒服の男が一人でアルビオン軍に向かっていった?」 「へぇ、部下の一人が剣を背負った奇妙な黒服と帽子の男が向かうのを見たと。おそらく一人で敵軍を止めに行ったんでしょう」 船の甲板で話しているのはド・ヴィヌイーユ大隊第二中隊長を勤めるギーシュと、中隊付軍曹のニコラだ。 その話を聞いたギーシュはすぐに一人の男を思い浮かべた。 奇妙な黒服を着てるなんて言われる人物は彼しか思いつかない。 いやそれ以前に、そんな事が出来そうな人間は他にはいないでだろう。 思えば彼との縁も奇妙なものだった。 出会いは最悪だった。 ジェイがギーシュの落としたモンモランシーの香水を拾って浮気がばれて、そのまま勢いで決闘を吹っかけた。 そしていざ決闘となると、ジェイはギーシュのワルキューレをその拳で次々と砕いていったのだ。 その姿に恐怖した。 次は自分があのワルキューレのように破壊されるんじゃないかと。 そして近づいてくるジェイのあまりの怖さに腰が抜けて逃げ出す事も出来なかった。 が、ジェイはギーシュの持っている薔薇の杖を取り上げただけだった。 そしてギーシュに向かってこう言った。 「男は目先の恐怖に怯んではならない」 その時にギーシュは鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。 「命を惜しむな、名を惜しめ」 このグラモン家の家訓を胸に今まで生きてきた。 だが、この時の自分は恐怖に飲まれ、あまつさえ自分から挑んだこの戦いから逃げたいと思ってしまった。 その事実に打ちのめされ、その場にひれ伏してしまった。 そんな自分に、 「男がいつまでも地面に這いつくばるものではない」 そう言って彼は自分に手を差し伸べてくれた。 この時から自分にとってジェイは無二の存在になった。 あれ以来、ギーシュは二度と浮気をすることはなかった。 今回の戦争でも恐怖は感じたが、その恐怖に飲まれて動けなくなることはなかった。 そして、決して最後まで諦める事もなかった。 全てジェイから学んだ事だ。 彼からは今まで多くのことを学んだ。 それは貴族とか平民とか、そんな枠組みを越えた、 そう、男としてあるべき姿を。 「勇敢な男がいたもんでさぁねぇ。でも一人で行って何ができるんだか」 「ふふ、どうかな」 「へ?」 彼が無意味な事などするはずがない。 ならば、彼にとってこれは可能なことなのだろう。 ギーシュは人生の師と仰いだその男の事を心から信じていた。 「ニコラ、彼が何と呼ばれているか知っているかい?」 「い、いえ」 「フッ、彼は……」 「我が軍の被害はどの程度だ?」 「はい、重軽傷者合わせて指揮官が約40人、その他各部隊の兵隊が約300人程です」 「死者は出ていないのか?」 「はい、奇跡としか言いようがありません」 勝利を確信したホースキンは副官から現状の確認をした。 そしてあれだけ暴れて全く死者が出ていないという事実に驚いた。 一体どれほどの実力があればそのような事が可能なのだろう。 戦慄を覚えると同時に、今ここで倒せた事に心底安心した。 「恐ろしい敵でしたな」 「ああ、だが同時に素晴らしい英雄でもあった。亡骸が残っていたら丁重に……」 プオオォォォォォォォォォォオオオオオオオォォォォォォォォォ 突如鳴り響いた甲高い音と共に、ジェイが包まれた炎の中から大量の蒸気が発生した。 そしてその炎が弱まり、中から現れたのは、 「何だあれは……」 赤く輝く双眸を持つ、黒と白で彩られた、人の形をした何かであった。 「へへ、何となくわかってはいたが相棒、やっぱりお前も人間じゃなかったんだな」 そう、彼は都市国家ジュドの都市安全管理局中によって作られたアンドロイド。 今の姿は人工皮膚で作られた外装が全て剥げた姿だ。 だがその外装はあくまでも一般人に紛れるための物。 戦闘に一切の支障はない。 「その格好も中々男前じゃねぇか」 「男が容姿について安易に語るものではない」 ヘイヘイとデルフリンガーは軽く相槌を打った。 が、そんな軽い調子のデルフリンガーとは違い、アルビオン軍はさらなる混乱に陥っていた。 「ゴっゴーレムだ!」 「いや、ガーゴイルだ!」 「バっバケモノ!」 アレだけの炎をその身に受け、それでもなお立ち上がる存在。 それはまさに人外の怪物以外の何者でもない。 アルビオン軍は自分達が相手をしているのがどれ程恐ろしい存在なのかを、この時始めて理解したのだ。 「まさか……アレは……」 ホースキンは一つの噂を思い出した。 先のトリステインへの奇襲作戦の際、数多の戦艦が一人の男によって墜とされた。 その男は蒸気に包まれながら戦い、一切血を流す事なく戦艦を無力化していったと。 その時は戦場に幾多流れる他愛もない虚報の一つだと聞き流していた。 が、目の前のソレを見て確証した。 コイツがそうだ。 それは誰が最初に呼んだのであろう。 その姿から男は敵からは畏怖の、味方からは畏敬の念を込めてこう呼ばれたという。 「あれが噂の……」 「「「ヒートガイ!!」」」 完
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アヌビス神④ 「ブチャラティはどこだ?どこにいるんだ?」 ギーシュとマリコルヌは今必死に街中を走り回っている。 早く見つけ出さないとキュルケの命が危ないかもしれない状況で内心二人は大焦りだった。 ブチャラティを見つけなくてはならない。一秒でも早く。キュルケの命が危険に晒されてるのは今なのだ。 「僕達久々の休みを満喫してただけだったのに…。なんでこんな人の命がかかった大マラソンやらなくちゃ いけないんだよチクショウ…。」 「無駄口聞いてる暇があったら早く探し当てよう。現実味に欠けててイマイチ実感がわかないかも知れないが キュルケが負けたら本当に死んでしまうんだぞ?手遅れにならないうちに見つけなくてはならないし、 僕達にはそれをやりとげる義務があるッ!!」 キュルケのクラスはトライアングル。おまけに彼女は軍人としての訓練もある程度受けていると聞いている。 その高い実力はよく知っており、信頼における物だった。 だがダメなのだ。スタンド使いの恐ろしさはクラスでは測れない。それが実際にスタンド使いと戦い、 そして知ったギーシュの持論だった。 (なにか、彼の手がかりだけでも掴むことができればいいんだけどな。どうしたものかな…。) あせるギーシュをマリコルヌが引き止める。 「なあ、ずいぶん向こうがやけに騒がしくないか?なにかあったんじゃないかな?」 「何か見つけたのか?」 「なんと言うか、ヒュウヒュウと空気の乱れる音がさっきからずっと耳に届いていたんだ。 『風』使いだからね。そういうのには敏感なんだ。打撃音も聞こえてまるで戦っているみたいだ。」 「戦っている?」 ギーシュはマリコルヌが指差す方向を見る。 「気になるな。よし。あっちの方向に行ってみよう。」 そこにいたのはウェールズだった。 追っ手に追いつかれて戦闘をしていたところだったのだ。 追っ手は4人の男。 「どうした兄ちゃんよ。ここまでずいぶんな数の仲間を一人一人やってくれたみたいだが、 多勢に無勢では流石に打つ手なしか?」 男の一人がそう冷やかすように言う。人数で押しているからだろう。 ある程度の余裕が感じられた。 「さあてね。もしかしたら一斉に全員倒す切り札をもっているかもしれないよ。」 「フン。なかなかいい度胸してるんだな。軍人か?てめーよォ。」 ウェールズは一呼吸おく。一旦落ち着いて敵を分析するためだ。 戦いの中ではまず相手の実力を見極めるのが重要とされている。 実戦に慣れているらしいウェールズはたやすく相手を見極めた。 (全員各系統のラインメイジか。だが特に何かに秀でているワケでもないようだな。 一応僕はトライアングルだが、敵が4人がかりとなると少し面倒かもな。) 杖を構えなおしてギロリと相手を睨む。そして呪文を唱えようとした。 だがウェールズはこの時まだ相手を完全に分析できていなかった。 そのため彼はこの後相手に意表をつかれ、呆然とすることとなった。 一番前にいた男が大声で仲間に言う。 「うっし!おまえら!いつものやつ行くぜッ!!」 「「「ウッス!」」」 雰囲気が盛り上がるような音楽が聞こえるような気がした。 「嵐のように現れて!突風のように去っていく!それはまさに疾風のごとくッ! 逃げ足なら誰にも負けねぇ! お れ の 名 は ペ イ ジ !」 「動かざること山のごとく!口開かぬこと地蔵のごとく! ノリと勢いで世界を救えるのか!? プ ラ ン ト!」 「・・・・・(ヤベッ!台詞忘れたッ!!)えっと、その、流れる、じゃなくてKOOL …は違う。うぐぐ…プリキュアじゃない、カミカゼでもなくて…」 「(ウェールズ)いつでもKOOLに決めてやる。水もしたたるいい男。 くらってくたばれおんみょう弾…か?」 「…なんで知ってんだよオオォォッ!!予知能力者かうう…うう… うおお おっ おっ オメーはよォォォォ ジ ョ ー ン ズ !」 「最後は当然このオレさ!誰もが認める炎の男!恋についてはオクテだぜ! ジョーンズ後で話あるから。 ボ ー ン ナ ム !」 登場シーンにアレンジ加えて登場しました俺たちがッ! 裏社会でのし上がれ!今時はやりのダークヒーロー! 血管針戦隊 ス テ ゴ マ 4!!! みんな応援よろしくねッ!(ウインク♪) バァ―――z______ン!!! ウェールズは先ほどのツッコミの後無表情になっている。 ギーシュとマリコルヌは『硬化』の呪文を受けたように固まった。 「付き合ってられないよ。僕は急いでるんだ。」 ウェールズが杖を構えなおし呪文を唱える。 そしてそれをペイジが感じ取り注意をうながす。 「いい度胸だ!見せてやろうか。俺達の必殺技ってヤツをッ!!」 4人が全員で違うタイミングで!絶妙な角度修正で!それぞれ違うスペルを唱える! 「くらえっ!お互いを打ち消さずそれでいて威力を高めあう俺達の最強合体スペル!! その名も『夢見る男達の多重血管針連弾』ッ!!」 「『トルネード』ッ!!」 竜巻とミックスジュース!術と術がぶつかり合うッ!! まあこの場の誰もが予想していた展開で幕を閉めるわけだが。 気がついた時にはすでに竜巻は捨て駒の術を意図も簡単に粉砕し終わった後だった。 しかし敗れた4人の顔にはむしろ余裕すら感じられた。 「あっさり俺たちの最強の術やぶれちまったぁ!!(予想通りの展開だがな。)」 「いくらなんでもあっさりすぎだぜッ!!(言うな。このために呼ばれたんだ。)」 「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!(今日は久しぶりに一杯飲もうや。ハッハッハ。)」 ドッカーーーーーz______ン!!! 4人は手馴れた様子で遥かかなたに吹っ飛んでった。 「この威力!トライアングルクラスか!?」 「そこの人!大丈夫ですか!?」 ギーシュとマリコルヌがウェールズの元に駆け寄った。 「・・・なるほど。だいたい話はわかった。」 ウェールズとギーシュたちが情報を交換する。 「ブチャラティはブチャラティで面倒なあってるなぁ…。」 「僕にはむしろ自分から率先して首をつっこんでいったように聞こえるけどね。 正気の沙汰とは思えないよ。ならず者はみんなメイジだってのに!」 マリコルヌが頭を抱えながら言う。町ひとつ簡単に占拠するメイジならそれ相応の強さがあるだろうに。 無論、それがぞろぞろいるのだとすればブチャラティ一人でそれを潰そうとするなんてあまりに現実から 離れすぎてるとんでもない大暴挙と考えるのだろう。 しかし、ギーシュはそんな不安がまるでないと言わんばかりにウェールズに聞く。 「ウェールズさん。ブチャラティは今どこに向かっているか心当たりはありますか?」 「ないな。だがさっき別れた時に30分立ってから広場で待ち合わせると約束した。 残念ながら本当に他に彼の手がかりは無い。広場に向かうことがやみくもに探すよりは一番妥当な手だと思う。」 「わかりました。広場ならここから10分で行けます。…キュルケも心配だ。さっき別れた武器屋の前のルートを 通っていきましょう。」 マリコルヌがギーシュに疑問があると言わんばかりに問いかける。 「待ってくれよギーシュ。どうしてそんなに冷静でいられるんだよ?いくらブチャラティでもできることとできないことがある んじゃあないかと考えないか?普通はさ。」 「わかってるよ。僕だってブチャラティがどうなったか不安なんだ。」 だけど、とギーシュが続けた。 「なぜだかブチャラティなら心配ない。そんな根拠のない自信が心の中にあふれてるんだ そんな見えない力が本来うろたえるはずの僕を後押ししているのかもしれない。 ブチャラティという奴はそう言う人間なんだ。だから僕なんか簡単にのされてしまったのさ。」 ウェールズがギーシュたちに言う。 「さあ、もう行かなくてはいけない。他の君たちの仲間がどうなっているかはわからないが事は一刻を争うだろう。」 走り出すウェールズを見てギーシュは思った。 「しかし、あの人はどこかで見たようなおぼえがあるな…。」 そう考えたギーシュの目にウェールズの指に嵌った緑色のルビーの光が飛び込んできた。 「アンタ誰よ?何が目的?」 目の前に突然現れた男に対したじろぐルイズ。 「うーんいいねぇお嬢さん。君実にかわいいよいやマジに。遠目に見ても一目で かなりの美人って分かるくらいだったからなァ~~。こうやって間近に見たら、 ンもう息も詰まるくらいにかわいいよ。うん。ピンク色のブロンドの髪といい、 透き通った綺麗な肌といい、俺の心をわしづかみにする要素だらけだ。魅入られてしまいそうだ。」 そう巻くし立てる男に対し、正直ルイズはいい印象を抱かなかった。誉められて いるはずなのにいい気分がしない。そう言って来たのが初対面の人間だと言うの も恐らくは理由のひとつでもあるだろうが何よりルイズはその男を直感的に気味 が悪いと感じていた。 「突然現れたと思ったら何をしゃべり始めてるのよ!アンタ私に何が言いたいの!?」 男が恍惚の表情を浮かべてルイズに言った。 「単刀直入に言おうか。君の事を気に入ったんだ。ぜひ付き合っていただけないだろうか?」 「ハァッ!?」 ルイズは男のあまりの展開に物凄く度肝をぬかれ、そして呆れ果ててしまった。 自分を遠くから見てたらしいが、自分にとっては初対面。たった今出会った初対面の男がそんな 台詞を言ってYESと言うはずが無いのにと思ったのだ。 ましてや男はルックスが悪いわけではないが、どう見ても平民だ。 「バカじゃないのアンタ?平民の分際でよくもまあこの私にそんな台詞が言えたモンね? 由緒正しいヴァリエール家の私がOKすると思ってるの?」 ルイズの発言はもっともだった。 「当然…。お断りよっ!!」 ルイズが仁王立ちで男を突っぱねた。 「な、そんなッ!何故だッ!!」 「当たり前でしょ!?どこの世界にたった今出会った奴のプロポーズをうけるバカがいるって言うのよ!?」 男はどうやら本気でショックを受けているようだ。軽いつもりのナンパではなかったらしい。 (オー・マイ・ゴッド!!今日会ったばかりよね!?なんでフラれてそこまでショックうけるほどに…。) 「そうか。じゃあしょうがないな。」 「フン。当然じゃな…。」 「今日は『無理矢理襲う』って感じに殺しちまおうか。」 ゾクッ!!といった感じの旋律がルイズを襲った。 「こ、殺すって!?」 気がついたら男はすぐ目の前。ルイズは後ろに下がる。 男はナイフで胸の辺りを切ってきたのだ。ルイズは一瞬で顔を真っ青に染める。 「な、何よ…。なんなのよアンタ…!何が目的…?」 「お前、あのおかっぱ髪の主人なんだろ?わかってるんだぜ。なーに状況が読めないのは無理は無い。 だから一つだけ教えておくと俺は最初から君を殺すつもりだったんだ。アイツに対する仕返しのつもりでな。 そして人質を取ったと奴にガセを流し、君の死体を囮にノコノコ出てきた所をぶっ殺しちまう寸法よ。」 男はニタニタ笑っていた。さっきの愛の告白とかも完全に自分を油断させたところを襲うつもりで言った狂言だったのだ。 「しかしよォ。君が本当に可愛いのは確かだぜ。だから今回は愛の告白に乗せて襲う作戦にしたんだ。 君は俺を虜にしてしまった。お嬢さん。君はなんて、なんて…。 な ん て 『美味しそうな』 娘 な ん だ ろ う ね。」 体中を嫌悪感が襲う。気がつけばルイズは逃げ出していた。 「ヤダ…!なんなのよコイツ!気持ち悪い…!!!」 男はルイズに向かってナイフを振るいルーンを唱えた。 「『エア・カッター』。」 ルイズの右足を風の刃が切り裂くッ!! 「きゃあっ!!」 「『きゃあっ!!』だってよ。素晴らしいな。実に楽しめそうだ。さあ、もっと俺を楽しませろよ。 さあ、もっと…!!」 ルイズが傷を庇いながら男を睨む。 「この変態野郎…。メイジ!?」 その平民に扮するメイジ。この男こそがブチャラティが喧嘩を売ったチンピラメイジ集団のリーダーだった。 この男は殺人行為がとてつもなく好きな男だった。特に美しい容姿をした女性を殺すのが好きな傾向は、 とある爆弾のスタンド使いにも通ずる所のある『性癖』そのものだった。 その男の殺人は趣味だ。これからもやめることは無いだろう。 そして今、その標的がルイズに決まってしまった。それだけ。本当に単純だった。 「冗談じゃ…ないッ!!」 ルイズが一瞬後ろを振り返ると、男がルーンを唱え、 ドュゥ~~~ン!! と言う音とともに一回の踏み込みでルイズのそばまで飛ぶッ!! 「魔法で一気に急接近してきた!?」 ルイズは泣きそうな顔になりながら不安定な自分を落ち着かせる。 (落ち着きなさい…。素数を数えて落ち着くの…。2、3、5、7、11、13…。 どうする?戦おうにも私はまともな魔法はまるで使えない! さっきの攻撃、おそらくトライアングル! 圧倒的過ぎる!このままじゃ本当に…。本当に…!) ルイズはいつしか涙を流していた。恐怖に飲まれていた。ルイズは心の底からマジに祈っていた。 (誰か・・・誰か助けて・・・!!) しかしルイズは曲がり角を曲がったところでッ! ズタンッ!! 「あうっ!!」 転倒してしまうッ!! 「い、いや…!」 ルイズに近づくリーダー。ニタニタした笑いでルイズが怯えているのを楽しんでいた。 ナイフを振るって心から楽しんでいる。それを振って魔法を使ったことから、おそらくコレが奴の杖なのだろう。 「ヒャァッーーーーハァッ!!」 (私には無理よ!どうすればいい?魔法が成功したためしがない、いつだ って爆発させてばかりの私に何が…。) ルイズは今自分が魔法が成功しない事を心からくやしがった。 (なんで私がこんなめにあうの?私が『ゼロ』だから?いつだって失敗ばかりの 爆発しか起こせない『ゼロのルイズ』だから?) 自己嫌悪して完全に諦めかけた。だがその時。 爆発しか起こせないのがそんなに恥じる事か?オレなら・・・。 「ハッ!」 「うらぁッ!イッチまいな~ッ!」 リーダーが切りかかろうとした次だった。ルイズが杖を構えて呪文を唱える。 「『ファイアー・ボール』ッ!」 「反撃かぁ!?弾き返してやるぜッ!『エア・カッ・・。」 ドカンッ!! 「ウグエッ!!!」 弾道が全く見えない。確かに唱えたのは『ファイヤー・ボール』のルーンだったはず。 だから『ファイヤー・ボール』の対処のため直線的な弾道を『エア・カッター』で切り裂こうとしたのだ。 だがそれがこなかった。その攻撃は突然腹部で起きたのだ。 「違うッ…。ガボッ!今のはよォーー。『ファイヤー・ボール』じゃねえ…。テメェ…何しやがったッ!何を…!」 ルイズの杖を持つ手は今も震えている。だがその目は真っ直ぐリーダーを射抜いている。 それは数日前。トリステイン魔法学院の広場。 昼休みだった。 「ルイズ?何を読んでいるんだ?」 背後からそう言ったのはつい最近に呼び出した使い魔のブチャラティだ。 「見てわからない?参考書よ。今勉強中なの。」 「そうか。すまないがオレはまだ字は読めない。」 ブチャラティはそう言って外を見た。 「しかし、外はこんなに晴れている。部屋にこもってないでたまには 外に出てみてはどうだ?体に毒だぜ。」 「私は魔法が使えないから。だから他のみんなよりがんばらないといけないの。 いつまでも『ゼロ』ってバカにされてやるもんですか。」 「…そうか。」 ブチャラティはここに来てから何日もルイズを見てきた。遊ぶ時間も寝る時間も削って 勉強する。呪文の反復練習なんて何回見ただろう。 なんとしてでも周りのみんなのように一人前のメイジになりたい。誰にも『ゼロ』とは呼ばせない。 そのために周りより苦しい生き方をしていた。 不公平だな。と思ったりもした。なぜルイズが他のメイジより苦しまなくてはならないのかと。 何より気に入らないのは、きっとルイズはブチャラティに会うずっと前から努力していただろうに、 それでも何一つ成功しないと言う点だった。 夜中だった。ルイズは外で呪文の反復練習をする。 外に出たのは部屋の中で呪文を使って爆発を起こされていたら安眠できないと 周りから苦情が来ていつも外でやるそうだ。 『ファイヤー・ボール』を放つ。爆発が起きる。 『錬金』を試みる。それでも爆発が起きる。 『エア・ハンマー』を使っても爆発。 爆発。爆発。爆発。何をやっても爆発しか起きない。 ブチャラティはその様子をただじっと見ている。 ギリ とルイズが歯を食いしばる。 「何でよ…。何で全く成功しないのよ…!」 ルイズの息が少し荒い。ブチャラティはルイズの疲労を感じ取り言った。 「今日はもう休もう。あんまりとばすと体に障る。」 そう言って差し伸べた手をルイズは跳ね除ける。 「まだよ…。できるまでやらなくちゃ…。絶対に成功させてやるんだから!」 ブチャラティもそれを見かねて言う。 「成功させるために体を壊したら本末転倒だぞ!」 「それでも!!やらなくっちゃいけないの。アンタにわかる?私の悔しさが。 ヴァリエールの三女として生まれて、誰からも期待されてるのに優秀なお姉さまたちと 比べてただの一度も成功しない!誰からも見放され!貶されて!名誉もなにもあったもんじゃあないわ! 私は何も出来ないから…。」 ブチャラティは首を振った。 「少なくとも…。オレはお前を見放すつもりも貶すつもりも無い。精一杯生きている人間を侮辱することなど 自分自身が一番許さないからな。少し劣っているからといって野次を飛ばすような奴など気にするな。 …今日はもう寝ろ。明日からまた頑張ろう。またオレも付き合うぜ。」 ルイズの胸の中に何か暖かい安堵の感覚が広がっていくのがわかった。 「ブチャラティ…。」 「それにお前は魔法は確実に失敗すると、どんな魔法を使おうが必ず爆発が起きると嘆いていたが、 爆発しか起こせないのがそんなに恥じる事か?オレならそれを『長所』と考えるな。」 ブチャラティの言葉にルイズが首をかしげる。 「『長所』?こんな爆発のどこが長所だって言うわけ?」 「他の奴らは失敗したとして爆発なんか起こせるか?他の奴らと話していたが誰も失敗で『爆発』は起きなかったそうだ。 つまり、お前は唯一、魔法で爆発が起こせるメイジと言うことになる。」 ルイズが目を丸くする。 「こんな爆発が…私の唯一できる事?」 「ああそうだ。それはオレも誇っていいことなんじゃないかと考える。他に簡単に爆発を起こせる奴なんかいないし 世の中には爆発を起こすことすら羨む人間もいる。オレを見てみろルイズ。オレに何が出来る? ただ『ジッパー』を貼ってそれを開け閉めしたりするくらいしかできないぞ。」 ブチャラティがルイズの肩を優しくおさえて言った。 「だがオレはギーシュに勝てた。こんなくだらないことしかできないくせに見事に勝って見せたじゃないか。 どんな技能でも使い方を工夫すればそれはきっとだれもくだらないなんて言わない誇れる長所になるだろう。」 ルイズはブチャラティの優しさに触れてわかった。ああ、これだから誰もがブチャラティを信じる人がたくさんいるんだなと。 「あ、あり…フン!それって慰めてるつもり?えらそうに。別にいらないわよそんなの!!」 しかしルイズは素直になれない。 「偉そうに言うつもりはさらさらないが、一人前になるためにはまずはそういう長所を伸ばすことから始めてみてはどうだ? そういう事から始めていけばもしかしたらいずれは…。いや、他愛も無いアドバイスだ。忘れたければ忘れていい。」 それが魔法でほめられた事の無いルイズが始めて認められた時だった。 「私はいつか一人前のメイジになりたい。だからここで死ぬわけにはいかないわ…!」 ルイズが決意した。ブチャラティは自分を探しているはずだ。だから奴に勝てないまでもそれまで生き延びて見せれば きっとブチャラティが助けてくれると! 「くそ…!なんなんだその魔法はッ!!」 リーダーがルイズに飛びかかる。だがルイズは冷静に呪文を唱える。 「『石礫』!」 「また単純なマネを!今度こそ『エア・カッター』で!」 ドカンッ!! 今度はリーダーの第二ボタンが爆発する。 「ま、また爆発ッ!!こいつの呪文…!全部爆発が起きんのか!?」 (これだわ…!これが一つ目の『長所』!これがいいのよ!私の爆発は何かをぶつける術ではなく直接対象を爆発させるから 身に着けている物を爆発させれば絶対避けられない!!) ルイズが敵を怯ませた隙をついて逃走する。 「待ちや…がれッ!!」 リーダーは攻撃に耐え、ルイズを追った。 「生き延びてやる!絶対ブチャラティは来てくれるはずだからッ!!」 「クソッ!ちょこまかと逃げやがって!いいかげんにしやがれ野郎ーーーーーッ!!」 すでに紳士面が剥がれ落ちたリーダーがルーンを唱える。その瞬間、男が再び勢いをつけて飛び込んできた。 「『ウインド・ブレイク』で自分を押して一方に高速移動したッ! 苦労したんだぜ。自分がその衝撃でやられないよう精密な動きができるようにするときとかなぁーーー!!」 あくまでその手で斬り殺すために磨いたのであろう近接攻撃向けの使い方! 「そしてこの体勢からエア・カッターで足を狙い、体をズタズタにしてやるッ!! 爆発だけで切り抜けることが」 この体勢からは避けられない!しかしルイズはッ! どんな魔法も失敗して爆発する。全ての魔法がだ。 「『レビテーション』ッ!!」 ドカンッ!! 「があああうッ!!!こ、コモン・マジックすら…爆発を発生させんのか!?」 (そう。コモン・マジックも。だから他の系統魔法よりも早く詠唱して攻撃ができるッ!!) 「ガハッ!クソッ!一撃でも当てたら一気にKOできそうなやせっぽちのくせにッ! じゃあ呪文すら唱えさせなかったらどうだよ!?いくら早く詠唱できるからって、 一瞬でも隙を突けばもうお前に防ぐ手立てはねえはずだぜ!『サンド・ブレイク』ッ!!」 風の二乗、土の一乗。砂の混じった風がルイズの目と口を反射的にふさがせたッ!! 「レビテ…ゲホッ!!」 一瞬。その一瞬の隙を付きリーダーが『エア・カッター』を唱え終わる。 「ハハハハハ!この近距離ならハズさねえ!爆発喰らったってテメエはこの一撃で再起不能だ! くらいなッ!!『エア・カッター』ッ!!」 ルイズがつらそうに目を開ける。だがその目にあきらめはない。 「ええ、そうね。そんな攻撃喰らったら間違いなく私は負けるわ。でも喰らわない。 すでに打開策は打っておいたッ!! あなたの服にカフスボタンがついていたからうまくいくんだけどね。」 「え!?」 ルイズが間髪いれずに呪文を詠唱!!狙いはリーダーの服についた杖腕のカフスボタンッ!! ドカンッ!! 「なっ!しまった!!」 爆発の衝撃でリーダーの攻撃が左に反れるッ!!当然、放とうとした攻撃は左に反れるッ!! 「爆発の有効な使い道…。これだわ。これでいけるッ!!」 ルイズが疲れきった体に鞭打ち表通りに出ようとする。 「なんとかして、ブチャラティに、会わなくちゃ…!」 だが。 タンッ!! 例の高速移動でルイズに追いつくッ!! 「しぶとすぎよこの変態!!とっとと倒れればどうなの!?」 「お、おれの…!俺の獲物!!ぜってぇに手に入れるッ!!」 ルイズが辺りを見回す。 「こうなったら…!!」 あたりにいろいろなガラクタがある。木箱、ガラス、セトモノ。それをルイズは。 「『レビテーション』!!『フライ』!!『着火』!!『アンロック』!!」 あちこちにやたらめったら爆発を起こしガラクタを破壊!! そしてルイズとリーダーの間に踏めば確実に足を痛めるであろう通行止めトラップができあがる! 「爆発の応用…!だいたいわかって来ている。ブチャラティが来るまで生き延びられる!!」 「どうかな?そんな物で俺が足止めできるとでも?『フライ』ッ!!」 あっけない対処。それはまさにこのことを言うのだろう。 リーダー自身も単純に対処できる事に拍子抜けした。 「このッ!降りてきなさいよッ!卑怯者!ド変態ッ!!」 ルイズがリーダーに向かって石を投げまくる。 「降りてなんかやるかよ。子供じみてるかもしれないが結構いい手だよなぁ? かわいそうになぁ?せっかく足止めなんて言ういい手を思いついちまったのによ?ギャハハハハハ!!!」 リーダーは空中で飛び回って石を避ける。 「ほらほら、くやしいか?悔しいだろうなぁこんな幼稚な手に引っかかってくれなくってよ? そもそもメイジ相手に足止めってのがちゃんちゃらおかしいぜ!」 ルイズは悔しそうな顔をして、 「おかしいかしら?そんなに私の行動が。その石ころただ投げてるとでも思ったの?」 と言った台詞とともにリーダーを嘲笑した。 「ハハハ…ハ?」 「『レビテーション』ッ!!」 ドッカーーz______ン!!! そう。ルイズが石を投げたのはこのため。空中のリーダーを爆発で打ち落とすためだったのだ。 「そしてそのトラップもアンタを足止めするために作ったんじゃないわ。」 そう言ってルイズは親指を立てる。 「アンタをそこに突き落とすために作ったのよ。」 そう言って親指を下に向けた。 ズサァッ!!! ブシュ!ブシュウ!! 「うごォォおああああああああああああああ!!!!!」 「絶対に…絶対に来てくれる。それまで戦うッ!!」 To Be Contined →
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[ 概説 ] [ 属性別 ][ 生息域別 ] [ 能力値解析 ][ 能力値一覧 ] [ 闇 ][ 光 ][ 火 ][ 冷 ][ 風 ][ 雷 ] 白玉/Small White 仙馬/Unicorn セイレーン/Seiren Wing 光竜/Wyvern プラティニ/Platinum Onion 空の王者/Sky Emperor 精霊玉/Small Spirit 天駆ける翼/Stairway to Heaven 白玉/Small White コア・オブジェクト 白い耳 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 3 Atk 30 Str 30 闇 2 死 2 HP 16 Mag 40 Int 41 火 1 毒 3 MP 31 Tec 42 Dex 43 雷 2 麻痺 1 Vital 37 Def 37 Vit 37 光 3 衝撃 2 Mental 40 Reg 37 Men 41 冷 2 沈黙 2 Speed 32 Eva 63 Agi 32 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 光の剣 1 8 34 32 0 40 100 光 応援 - - 120 100 6 0 0 物 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 経験値上昇 1 20 0 戦闘勝利時における、経験値が20%上昇する 戦利品取得率上昇 2 30 0 戦闘勝利時における、戦利品取得率が30%上昇する この使い魔を編集する 仙馬/Unicorn コア・オブジェクト 捩れた角 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 8 Atk 34 Str 34 闇 1 死 2 HP 45 Mag 42 Int 43 火 2 毒 3 MP 34 Tec 45 Dex 47 雷 2 麻痺 2 Vital 42 Def 42 Vit 43 光 3 衝撃 2 Mental 45 Reg 45 Men 47 冷 2 沈黙 2 Speed 34 Eva 45 Agi 34 風 2 暗闇 1 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 秋水 1 4 20 40 0 20 100 - 治癒力向上 清浄 3 4 0 0 0 15 0 - 状態異常回復 Passive Skill なし この使い魔を編集する セイレーン/Seiren Wing コア・オブジェクト 精霊の羽 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 17 Atk 45 Str 47 闇 1 死 2 HP 77 Mag 65 Int 82 火 2 毒 1 MP 60 Tec 65 Dex 82 雷 2 麻痺 3 Vital 51 Def 51 Vit 56 光 3 衝撃 2 Mental 60 Reg 56 Men 72 冷 2 沈黙 2 Speed 45 Eva 60 Agi 47 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 秋水 2 5 30 60 0 25 100 - 治癒力向上 曙光 2 13 28 52 0 45 100 - 単体回復 天使の詩 1 8 6 0 0 40 0 - 周囲の味方の精神力向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 クイックスペル 2 50 3 予め魔術の構成を編み、詠唱時間を大幅に短縮する。 リジェネレーション 2 6 5 再生能力のスキル。戦闘時、自動で傷が癒える。 この使い魔を編集する 光竜/Wyvern コア・オブジェクト 輝く鱗 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 22 Atk 57 Str 66 闇 1 死 2 HP 86 Mag 60 Int 72 火 2 毒 2 MP 25 Tec 71 Dex 95 雷 2 麻痺 1 Vital 71 Def 71 Vit 95 光 3 衝撃 3 Mental 60 Reg 60 Men 72 冷 2 沈黙 2 Speed 57 Eva 71 Agi 66 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 墜 - - 72 40 8 0 100 物 閃 - - 48 80 8 0 100 物 精霊の詩 3 12 7 0 0 30 0 - 周囲の味方の敏捷性向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 アクセラレータ 3 14 4 スキル攻撃を行った際、使用スキルが再チャージされる。 この使い魔を編集する プラティニ/Platinum Onion コア・オブジェクト 金の玉葱 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 19 Atk 47 Str 50 闇 1 死 2 HP 34 Mag 64 Int 80 火 2 毒 3 MP 47 Tec 64 Dex 80 雷 2 麻痺 2 Vital 50 Def 54 Vit 55 光 3 衝撃 2 Mental 54 Reg 85 Men 61 冷 2 沈黙 2 Speed 51 Eva 85 Agi 56 風 2 暗闇 1 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 吸血の牙 - - 48 40 6 0 100 物 HP吸収 光の剣 3 10 44 42 0 50 100 光 白翔陣 2 12 36 40 2 65 100 光 幻影蝶 1 12 28 42 12 50 100 光 行動・詠唱解除 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 獲得金額上昇 5 80 0 戦闘勝利時における、獲得金額が80%上昇する 戦利品取得率上昇 3 40 0 戦闘勝利時における、戦利品取得率が40%上昇する この使い魔を編集する 空の王者/Sky Emperor コア・オブジェクト 飛竜の逆鱗 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 28 Atk 74 Str 103 闇 1 死 2 HP 100 Mag 78 Int 113 火 2 毒 2 MP 51 Tec 85 Dex 134 雷 2 麻痺 2 Vital 85 Def 85 Vit 134 光 3 衝撃 2 Mental 63 Reg 78 Men 78 冷 2 沈黙 2 Speed 90 Eva 92 Agi 150 風 3 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 墜 - - 60 60 8 0 100 物 閃 - - 48 120 8 0 100 物 直線攻撃 爆 - - 60 60 12 0 100 物 周りの敵にもダメージ 風の鞭 4 11 27 52 0 20 150 風 小範囲 旋空刃 4 14 25 56 2 25 200 風 中範囲 風塵牙 3 14 35 54 4 15 200 風 疾空閃 3 18 35 62 6 20 200 風 妖精の詩 4 14 11 0 0 25 0 - 周囲の味方の防御力向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 アクセラレータ 4 17 5 スキル攻撃を行った際、使用スキルが再チャージされる。 ロイヤルクレスト 4 17 5 最高位魔術を詠唱した際、一定確率で大魔術が発動する。 この使い魔を編集する 精霊玉/Small Spirit コア・オブジェクト 精霊の耳 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 24 Atk 60 Str 72 闇 1 死 2 HP 65 Mag 82 Int 125 火 2 毒 2 MP 73 Tec 82 Dex 125 雷 1 麻痺 2 Vital 57 Def 63 Vit 66 光 3 衝撃 2 Mental 82 Reg 75 Men 125 冷 3 沈黙 2 Speed 66 Eva 100 Agi 84 風 3 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 応援 - - 120 100 6 0 0 物 呪怨 - - 120 40 8 0 0 物 ディレイ 光の剣 4 11 52 50 0 55 100 光 白翔陣 4 14 50 540 2 75 100 光 白檄槍 3 14 41 61 4 60 150 光 幻影蝶 3 14 38 52 12 60 100 光 行動・詠唱解除 裁きの翼 3 18 31 60 6 90 250 光 大範囲 幽世の門 3 22 42 51 50 180 225 光 状態異常付与 凍牙 3 6 27 38 0 50 150 冷 凍衝刃 3 7 27 42 2 60 175 冷 小範囲 氷結の矢襖 2 9 24 42 4 60 200 冷 小範囲 氷雪花 2 10 26 50 6 70 200 冷 中範囲 風の鞭 3 10 23 44 0 15 150 風 小範囲 旋空刃 3 13 21 48 2 20 200 風 中範囲 風塵牙 2 13 32 48 4 15 200 風 疾空閃 2 17 32 56 6 20 200 風 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 経験値上昇 5 80 0 戦闘勝利時における、経験値が80%上昇する 戦利品取得率上昇 4 60 0 戦闘勝利時における、戦利品取得率が60%上昇する 獲得金額上昇 4 60 0 戦闘勝利時における、獲得金額が60%上昇する この使い魔を編集する 天駆ける翼/Stairway to Heaven コア・オブジェクト 金色の羽 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 30 Atk 66 Str 84 闇 2 死 2 HP 135 Mag 98 Int 180 火 2 毒 2 MP 75 Tec 90 Dex 150 雷 1 麻痺 2 Vital 75 Def 75 Vit 105 光 3 衝撃 2 Mental 98 Reg 98 Men 180 冷 2 沈黙 2 Speed 72 Eva 90 Agi 98 風 3 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 秋水 4 6 50 100 0 35 100 - 治癒力向上 曙光 4 15 52 84 0 55 100 - 単体回復 神和 3 28 28 48 0 100 100 - 範囲回復 清浄 5 4 0 0 0 5 0 - 状態異常回復 黄泉 3 20 32 60 0 70 100 - 復活 天使の詩 4 14 9 0 0 25 0 - 周囲の味方の精神力向上 精霊の詩 4 14 8 0 0 30 0 - 周囲の味方の敏捷性向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 メディテーション 4 5 7 大気に満ちるマナを取り込み、自動でMPを回復する。 クイックスペル 4 70 4 予め魔術の構成を編み、詠唱時間を大幅に短縮する。 この使い魔を編集する
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あの召還騒ぎから半日近く経過し、もう空には二つの月が浮かんでいた。 「うく・・・くっ・・・」 もう限界だった。 いや、よくここまで我慢した、そう自分を褒めてやりたかった。 どうする? どうするルイズ・フランソワーズ?? いやそれだけはできない、由緒正しきヴァリエールの血を引く私がこんなところで・・・! 空腹いい、我慢しよう、ベットがないのもいい、屈辱だが耐えて見せよう。 だがこれは! これだけは!! 「くぅぅぅぅぅ、誰か、せめてアヒルさんを・・・!」 もはや足元がくがくの状態で鉄塔にしがみついていると ドゴォォォォォォォォン! 本日何度目の爆音であろうか、鉄塔の突き破られもろくなった屋根がガラガラと崩れ落ちる。 そこから現れたのはとてつもない大きさのゴーレム。 「あらあら、私としたことが。ごめんねお嬢さん、ちょっと浮かれててゴーレムの操作失敗しちゃったわ」 「ミス・ロングビル! 一体何を」 「あらあら、これは鳥籠のお嬢ちゃん。いやー恩に着るわ、あなたのおかげでこんなにも仕事早く 仕事が片付けれるなんて」 彼女の手には見たこともない奇妙な杖が握られていた。 「まさかそれ・・・そういえば最近貴族専門の泥棒が暴れてるって・・・」 「お察しの通り、破壊の杖確かにいただきました。オスマンのじじいにはそう伝えといてね」 あははははは、と上機嫌にロングビル・・・いや、土くれのフーケは笑う。 なんてこった。まさかミス・ロングビルが土くれのフーケだったなんて。 そしてあの厳重な宝物庫をこうも簡単に攻略できたのはほかならぬ自分の失態だ。 忌々しげにゴーレムを見上げ、そして鉄塔を睨む。 鉄塔はご主人様のピンチに戦ってくれるわけでもなく、やっぱりいつも通りだった。 「く・・・待ちなさい土くれのフーケ! 無事に逃げられると思ってるの」 「ええおかげさまで。ほんと助かったわ」 「待ちなさい! ええい待ちなさいって言ってるでしょ、土くれ! 落ちぶれメイジ! 年増!」 ピタ 学園を去ろうとしていたゴーレムの動きが止まる。 「誰が・・・年増ですって・・・?」 かかった! ルイズは心の中でガッツポーズをした。 「私とあなたのほかに誰がいるって言うのかしら。ああ嫌だわ、更年期障害って」 「私はまだ23よ! 小娘が!」 「23! そんな年にもなってまだそんなことやってらっしゃるなんて・・・ああごめんなさい。 貴族の感覚で物を言っては失礼でしたわね、『ミス』・ロングビル」 そう言って恭しく頭を下げるルイズ。 プッツ~~ン その時、フーケの中で決定的な『何か』が切れた。 ずいぶん切れやすい気もするが、彼女にはそれが決定的な事だった。 「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ いってくれるじゃないのおおおおお、小娘ぇえええええ! 貴族の感覚? は、私はそういうのが一番嫌いなのよ! 年増? まだ小便くさいガキよりはましよ! いいわ、見逃してあげるつもりだったけどそこまで言うなら相手をしたげる『これ』でね」 フーケは肩に破壊の杖を担ぐ。 「破壊の杖・・・どれくらいの力があるのか知らないけど効果は分かるわよね。多分名前のまんまだろうし。 ふふふふふ、お嬢ちゃん覚悟はできた?」 「あら、あなたが盛大に吹っ飛ばされるのを見て笑いを堪えることかしら? 自信はないわね」 「・・・・・・・・もういいわ、バイバイ、小鳥さん」 ドシュウウウウウウウウウ 破壊の杖から『魔法』が発射される。 そして ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!! 先ほど屋根が壊れたとき以上の爆発と衝撃があたりに響く。 もうもうと砂煙があがり辺りが硝煙の匂いが鼻を突く。 「これが・・・破壊の杖の力・・・ふふふ、こりゃいいわ。下手な火の魔法なんかより断然」 「ええそうね、さすがの威力ね。可哀相なくらいに」 砂煙の中彼女は、ルイズは立っていた。 圧倒的な破壊の魔法は彼女に届くことなく『鉄塔』に吸収された。 「そんな・・・あの爆発を防いだというの? どうやって」 「ええそうね・・・まあそういうことになるんでしょうね。ちなみにどういう原理かは私も知らない。 教えてくれないからね、こいつ」 そういってルイズは鉄の柱を指差した。 フーケには今日一つの幸運があった。それは苦せずして破壊の杖を盗み出せたこと。 フーケには今日二つの不幸があった。それは破壊の杖の使い方が分かってしまったこと、そして 『鉄塔の性質を知る機会がなかったこと』 ウォン! ウォン! ウォン! キュルケのときとは比べ物にならない鉄塔の咆哮があたりに響く。 「・・・・・・・・・・・・」 これから起こる事を想像し、ルイズはフーケに同情した。しかし ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この股間の冷たさが彼女を冷酷に変えた 言うなれば『私残酷でしてよ!』と言ったところか、はたまた『お前の場合ちっとも可哀相とはおもわん!』か。 とにかく自分に最大限の侮辱を与えてくれたフーケにかける情けなどはない! 「はてさて・・・こういう時ってなんていえばいいのかしらえっと・・・」 しばらく考え込みそしていい言葉が思いついたのかニヤリと笑う。 鉄塔の咆哮も最大限に達する。 限界まで蓄えられた破壊のエネルギーがフーケとゴーレムに向けて収束する。 「私があなたに贈る、最後の言葉よ」 「なんだかわからんが、くらえッ!!!」
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[ 概説 ] [ 属性別 ][ 生息域別 ] [ 能力値解析 ][ 能力値一覧 ] [ 闇 ][ 光 ][ 火 ][ 冷 ][ 風 ][ 雷 ] 黒き狩人/Black Hunter 闇に沈む者/Dark Assimilator イビルバグ/Evil Cat 黒玉/Small Black ゴアシェイド/Gore Shade 闇精/Fallen Angel ブラックダガー/Black Dugger シャドウストーカー/Shadow Stalker デスホーン/Death Horn ネクロマスター/Necro Master ジャックナイフ/Jackknife ディザスター/Seed of Disaster クレストソーサー/Rune Crest Sorcerer 黒き狩人/Black Hunter コア・オブジェクト 白い牙 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 4 Atk 33 Str 33 闇 3 死 2 HP 66 Mag 34 Int 34 火 2 毒 2 MP 5 Tec 43 Dex 45 雷 2 麻痺 3 Vital 64 Def 38 Vit 80 光 1 衝撃 2 Mental 34 Reg 53 Men 34 冷 2 沈黙 2 Speed 22 Eva 38 Agi 23 風 2 暗闇 1 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 ぶちかまし - - 28 26 6 0 100 物 スタン Passive Skill なし この使い魔を編集する 闇に沈む者/Dark Assimilator コア・オブジェクト 赤い首輪 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 7 Atk 31 Str 31 闇 3 死 2 HP 61 Mag 44 Int 46 火 2 毒 3 MP 34 Tec 41 Dex 42 雷 2 麻痺 2 Vital 39 Def 44 Vit 40 光 1 衝撃 2 Mental 44 Reg 47 Men 46 冷 2 沈黙 1 Speed 31 Eva 41 Agi 31 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 闇撫 - - 0 20 4 0 0 物 中範囲を暗闇 闇の刃 1 8 26 24 0 40 150 闇 Passive Skill なし この使い魔を編集する イビルバグ/Evil Cat コア・オブジェクト 髑髏 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 10 Atk 36 Str 36 闇 4 死 3 HP 37 Mag 42 Int 43 火 2 毒 2 MP 30 Tec 63 Dex 78 雷 2 麻痺 1 Vital 39 Def 36 Vit 40 光 1 衝撃 2 Mental 36 Reg 39 Men 36 冷 2 沈黙 2 Speed 36 Eva 76 Agi 36 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 痺れる爪 - - 24 40 6 0 100 物 麻痺 死の爪 - - 0 60 8 0 0 物 死 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 ミラージュ 1 12 2 物理攻撃を行った際、低確率で連続攻撃を行う。 この使い魔を編集する 黒玉/Small Black コア・オブジェクト 黒い耳 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 8 Atk 34 Str 34 闇 3 死 2 HP 27 Mag 48 Int 52 火 1 毒 3 MP 34 Tec 48 Dex 52 雷 2 麻痺 2 Vital 37 Def 40 Vit 37 光 2 衝撃 2 Mental 48 Reg 42 Men 52 冷 2 沈黙 2 Speed 38 Eva 60 Agi 38 風 2 暗闇 1 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 呪怨 - - 120 20 8 0 0 物 ディレイ 凍牙 3 6 27 38 0 50 150 冷 凍衝刃 2 7 24 36 2 55 175 冷 小範囲 闇の刃 3 10 31 34 0 50 150 闇 黒瘴陣 2 12 26 34 2 65 150 闇 中範囲 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 経験値上昇 3 40 0 戦闘勝利時における、経験値が40%上昇する 戦利品取得率上昇 3 40 0 戦闘勝利時における、戦利品取得率が40%上昇する この使い魔を編集する ゴアシェイド/Gore Shade コア・オブジェクト 青い首輪 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 18 Atk 46 Str 49 闇 3 死 2 HP 78 Mag 62 Int 76 火 2 毒 3 MP 61 Tec 62 Dex 76 雷 2 麻痺 2 Vital 48 Def 53 Vit 52 光 1 衝撃 2 Mental 58 Reg 58 Men 68 冷 2 沈黙 1 Speed 46 Eva 67 Agi 49 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 ポイズンミスト - - 0 20 4 0 0 物 中範囲を毒 闇の刃 3 10 31 34 0 50 150 闇 黒瘴陣 2 12 26 34 2 65 150 闇 中範囲 炎の斧 3 11 34 40 0 65 100 火 中範囲 炎舞陣 2 13 38 38 2 70 100 火 大範囲 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 サイドワインダー 3 12 4 物理攻撃を行った際、低確率で下位魔術が発動する。 この使い魔を編集する 闇精/Fallen Angel コア・オブジェクト 闇色の羽 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 22 Atk 48 Str 52 闇 3 死 2 HP 86 Mag 76 Int 108 火 2 毒 2 MP 51 Tec 71 Dex 95 雷 2 麻痺 1 Vital 60 Def 65 Vit 72 光 1 衝撃 3 Mental 71 Reg 65 Men 95 冷 2 沈黙 2 Speed 57 Eva 71 Agi 66 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 秋水 3 5 40 80 0 30 100 - 治癒力向上 曙光 2 13 28 52 0 45 100 - 単体回復 神和 2 26 16 32 0 90 100 - 範囲回復 清浄 3 4 0 0 0 15 0 - 状態異常回復 悪魔の詩 3 12 6 0 0 30 0 - 周囲の味方の攻撃力向上 強化呪 3 6 12 0 0 30 0 - 攻撃力+、技術力- Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 クイックスペル 3 60 3 予め魔術の構成を編み、詠唱時間を大幅に短縮する。 この使い魔を編集する ブラックダガー/Black Dugger コア・オブジェクト 血に濡れた刃 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 22 Atk 75 Str 105 闇 3 死 2 HP 74 Mag 60 Int 72 火 2 毒 3 MP 25 Tec 71 Dex 95 雷 2 麻痺 2 Vital 54 Def 65 Vit 61 光 1 衝撃 2 Mental 60 Reg 65 Men 72 冷 2 沈黙 2 Speed 61 Eva 76 Agi 74 風 2 暗闇 1 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 スラッシャー - - 96 80 12 0 100 物 ディレイ 鋭化呪 3 6 18 0 0 30 0 - 技術力+、防御力- 幻獣の詩 3 12 9 0 0 30 0 - 周囲の味方の技術力向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 シャープネス 3 30 4 鋭い刃で致命打を繰り出す。クリティカル発生率が上昇する。 アクセラレータ 3 14 4 スキル攻撃を行った際、使用スキルが再チャージされる。 この使い魔を編集する シャドウストーカー/Shadow Stalker コア・オブジェクト 影の鎖 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 20 Atk 49 Str 53 闇 2 死 2 HP 82 Mag 72 Int 98 火 2 毒 3 MP 65 Tec 66 Dex 84 雷 1 麻痺 2 Vital 61 Def 56 Vit 74 光 2 衝撃 2 Mental 66 Reg 61 Men 84 冷 2 沈黙 1 Speed 49 Eva 56 Agi 53 風 3 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 パラライズミスト - - 0 20 4 0 0 物 中範囲を麻痺 風の鞭 3 10 23 44 0 15 150 風 小範囲 旋空刃 2 12 18 42 2 20 200 風 中範囲 風塵牙 1 12 30 44 4 10 200 風 闇の刃 3 10 31 34 0 50 150 闇 黒瘴陣 2 12 26 34 2 65 150 闇 中範囲 紫剣の雨 1 14 36 36 4 70 130 闇 広範囲 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 メディテーション 3 4 5 大気に満ちるマナを取り込み、自動でMPを回復する。 サイドワインダー 3 12 4 物理攻撃を行った際、低確率で下位魔術が発動する。 この使い魔を編集する デスホーン/Death Horn コア・オブジェクト 静寂の角 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 24 Atk 55 Str 63 闇 3 死 2 HP 78 Mag 69 Int 91 火 2 毒 3 MP 73 Tec 75 Dex 105 雷 1 麻痺 2 Vital 69 Def 69 Vit 91 光 2 衝撃 1 Mental 75 Reg 75 Men 105 冷 2 沈黙 2 Speed 55 Eva 75 Agi 63 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 秋水 4 6 50 100 0 35 100 - 治癒力向上 曙光 3 14 40 68 0 50 100 - 単体回復 清浄 5 4 0 0 0 5 0 - 状態異常回復 黄泉 2 18 18 40 0 65 100 - 復活 幻獣の詩 3 12 9 0 0 30 0 - 周囲の味方の技術力向上 精霊の詩 3 12 7 0 0 30 0 - 周囲の見方の敏捷性向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 クイックスペル 4 70 4 予め魔術の構成を編み、詠唱時間を大幅に短縮する。 パーリング 4 12 4 敵の物理攻撃を、一定の確率で無効化をする。 この使い魔を編集する ネクロマスター/Necro Master コア・オブジェクト 闇のマント 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 25 Atk 62 Str 76 闇 3 死 2 HP 119 Mag 78 Int 113 火 2 毒 2 MP 75 Tec 84 Dex 131 雷 2 麻痺 1 Vital 71 Def 71 Vit 95 光 2 衝撃 2 Mental 65 Reg 78 Men 82 冷 2 沈黙 3 Speed 62 Eva 78 Agi 76 風 1 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 吸血の牙 - - 48 40 6 0 150 物 HP吸収 闇の刃 4 11 35 42 0 55 150 闇 黒瘴陣 3 13 29 40 2 70 150 闇 中範囲 紫剣の雨 2 15 38 40 4 75 130 闇 広範囲 吸命痕 2 13 44 40 4 55 100 闇 HP吸収 業魔の門 3 22 42 58 50 180 225 闇 広範囲 風の鞭 3 10 23 44 0 15 150 風 小範囲 旋空刃 2 12 18 42 2 20 200 風 中範囲 風塵牙 1 12 30 44 4 10 200 風 幻惑の邪眼 4 5 0 200 4 0 0 物 暗闇 封魔の邪眼 4 5 0 200 4 0 0 物 沈黙 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 クイックスペル 4 70 4 予め魔術の構成を編み、詠唱時間を大幅に短縮する。 ロイヤルクレスト 4 17 5 最高位魔術を詠唱した際、一定確率で大魔術が発動する。 この使い魔を編集する ジャックナイフ/Jackknife コア・オブジェクト スカイブルー 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 27 Atk 66 Str 84 闇 3 死 2 HP 70 Mag 76 Int 108 火 2 毒 2 MP 40 Tec 129 Dex 342 雷 2 麻痺 2 Vital 76 Def 62 Vit 108 光 1 衝撃 2 Mental 76 Reg 76 Men 108 冷 2 沈黙 2 Speed 66 Eva 149 Agi 84 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 瘴気の爪 - - 48 60 6 0 100 物 毒、麻痺 死の爪 - - 0 80 8 0 0 物 死 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 シャープネス 4 35 5 鋭い刃で致命打を繰り出す。クリティカル発生率が上昇する。 ミラージュ 4 18 5 物理攻撃を行った際、低確率で連続攻撃を行う。 この使い魔を編集する ディザスター/Seed of Disaster コア・オブジェクト 業魔の仮面 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 29 Atk 70 Str 93 闇 3 死 2 HP 116 Mag 88 Int 143 火 3 毒 2 MP 63 Tec 95 Dex 168 雷 2 麻痺 2 Vital 95 Def 88 Vit 168 光 2 衝撃 2 Mental 95 Reg 88 Men 168 冷 1 沈黙 2 Speed 70 Eva 88 Agi 93 風 2 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 ベアタックル - - 60 50 6 0 100 物 バーストネイル - - 48 30 4 0 100 物、火 範囲攻撃 アビスブラスト - - 360 50 4 0 25 物、闇 蠱毒の邪眼 4 5 40 200 4 0 0 物 毒 幻惑の邪眼 4 5 0 200 4 0 0 物 暗闇 封魔の邪眼 4 5 0 200 4 0 0 物 沈黙 悪魔の詩 4 14 7 0 0 25 0 - 周囲の味方の攻撃力向上 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 パーリング 4 12 4 敵の物理攻撃を、一定の確率で無効化をする。 カウンター 4 17 4 敵の物理攻撃に対し、一定の確率で反撃を行う。 この使い魔を編集する クレストソーサー/Rune Crest Sorcerer コア・オブジェクト 怪人の仮面 初期パラメータ 性能 基礎能力 耐性 LV 29 Atk 76 Str 108 闇 3 死 2 HP 131 Mag 95 Int 168 火 3 毒 2 MP 94 Tec 95 Dex 168 雷 2 麻痺 2 Vital 73 Def 80 Vit 100 光 1 衝撃 2 Mental 88 Reg 88 Men 143 冷 3 沈黙 2 Speed 70 Eva 88 Agi 93 風 1 暗闇 2 Active Skill スキル名 LV MP 威力 精度 錬気 詠唱 倍率 属性 備考 ミアズマ - 16 60 50 4 100 130 闇 敵全体にランダムダメージ スーパーノヴァ - 30 180 30 100 150 125 火 敵全体 闇の刃 4 11 35 42 0 55 150 闇 黒瘴陣 4 14 33 48 2 75 150 闇 中範囲 紫剣の雨 3 16 41 46 4 80 130 闇 広範囲 吸命痕 3 14 53 46 4 60 100 闇 HP吸収 剣の輪舞曲 3 16 51 54 6 70 180 闇 業魔の門 3 22 42 58 50 180 225 闇 広範囲 炎の斧 3 11 34 40 0 65 100 火 中範囲 炎舞陣 3 14 44 44 2 75 100 火 大範囲 煉獄の炎 3 15 41 50 4 60 150 火 燎原の灯火 3 18 56 58 6 90 100 火 凍牙 3 6 27 38 0 50 150 冷 凍衝刃 3 7 27 42 2 60 175 冷 小範囲 氷結の矢襖 3 9 27 48 4 65 200 冷 小範囲 氷雪花 3 10 29 56 6 75 200 冷 中範囲 Passive Skill スキル名 LV 効果 SP 解説 クイックスペル 4 70 4 予め魔術の構成を編み、詠唱時間を大幅に短縮する。 ロイヤルクレスト 4 17 5 最高位魔術を詠唱した際、一定確率で大魔術が発動する。 この使い魔を編集する
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主な属性シナジー 一週間少女「パチュリー・ノーレッジ」の能力から呼び出される。 属性に使い魔を含むスペル 水符「プリンセスウンディネ」 金符「シルバードラゴン」 火符「アグニシャイン」 土符「レイジィトリリトン」 木符「シルフィホルン」 不死「火の鳥 -鳳翼天翔-」 虚人「ウー」 木符「グリーンストーム」 外力「無限の超高速飛行体」 火符「アグニシャイン上級」 月符「サイレントセレナ」 属性に使い魔を含むアクション 半幽霊 死蝶霊
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ルイズはこの上なく緊張していた。 この儀式、サモン・サーヴァントだけは失敗するわけにはいかない。サモン・サーヴァントさえ失敗するようなら、 皆が…なによりルイズ自身が、ルイズを魔法使いだとは認められなくなってしまう。 「始祖ブリミルよ…私は今まで、誰よりも真面目に勉強しました。魔法の修練だって、一日も休まずにこなしてきました」 ルイズは桃色の髪を翻らせて、杖を掲げる。 「だから、この儀式だけは、サモン・サーヴァントだけは!成功させてください!」 ルイズは呪文を唱えて、勢いよく杖を振り下ろした。 あたりに、盛大な爆音が響き渡る。 煙の中から、こんもりした何かの山が姿を現した。 またいつもの通り失敗か。そう思って口を開こうとした生徒達の間に、ざわめきが生まれた。 「見ろよ、ゼロのルイズが…何だあれ?」 「マジックアイテムか?石か何かみたいな大きさだが」 「生きてるのか?山になってるぞ」 ルイズは召喚が『一応』成功した事に安堵しながら、自分でもそれが何なのか分からず、 すがるようにコルベールへと視線を送る。コルベールは未整理ながらも、自説を語り始めた。 「えー…ミス・ヴァリエール。あれが何なのか、私にもわかりません。一つ一つが生きてはいないようですが、 何らかの魔法に近い力はあるようです。ですから、あれは使い魔たる要件を満たす存在であろう、と私は判断します。 おそらくは群体生命といってさしつかえないのではと考えられますので、 そのうちのどれか一つと契約を行ってください。それで『コントラクト・サーヴァント』は完了するでしょう」 長ったらしいコルベールの解説にため息で答えて、ルイズはあらためて『それ』に向き直った。 薄茶色の本体の上に、こげ茶色の染料が塗られている。かすかに嗅いだ事のない甘い匂いが漂ってきて、 それが未知のアイテムである事をうかがわせた。 「ルイズちゃん、やればできるんだね。こんな使い魔、見たことも聞いたこともないよ」 『それ』に向き合い値踏みするルイズの戸惑いを察知したのか、 大きな杖を持った少女がルイズを励ました。 「シャルロット…」 シャルロットは、笑顔の似合う優等生。 魔法が使えずバカにされていたルイズを何度となく励ましてくれた、 ルイズの唯一の『親友』なんだろうとルイズが勝手に思っている、そんな存在。 「ルイズちゃんが召喚したんだから、きっとすごい使い魔になるんだと思うよ。卵か何かかな?」 「だといいんだけど」 シャルロットの快活さにわずかに励まされたルイズは、 自らの呼び出した謎の石と契約するべく、歩を進めた。 意外と軽く柔らかかったそれを掌にのせ、契約の呪を唱え、口付ける。 顔を近づけたルイズは、その石の甘い香りに気がついた。もしかしたら、これは何かお菓子のようなものなのだろうか? 使い魔のルーンが刻まれ、コントラクト・サーヴァントは滞りなく終了した…かに見えた。 だが次の瞬間。なんと『それ』がみるみる膨らみ、ついには二つに分裂し始めたではないか! 「え、えええ!?」 あぜんとするルイズをよそに、残りの『それ』にもルーンが刻まれ、二つは四つに、四つは八つに、八つは十六個に… 草原の上の小山が、みるみる大きくなってゆく。 その様子を見ていた生徒達はまず反射的に笑い転げた。 「見ろよ!初っ端から使い魔を暴走させてるぜ!」 「さすがルイズ、無機物の使い魔すら制御できないのか!」 生徒達がルイズを嘲笑する間にも、『それ』は分裂を繰り返し、無軌道に増殖を続ける。 「これは…まずいかもしれませんね。ちょっと、皆さんは下がっていなさい」 ようやく事態に気付いたコルベールが、巨大なファイヤーボールを『それ』にぶつけたが、 炭化した部分の体積はそのままに、みるみるうちに元の薄茶色とこげ茶色の石が全てを覆いつくし、 また何事もなかったかのように分裂は再開。 いつのまにか、その柔らかい石は魔法学院の中庭を埋め尽くすまでに増殖していた。 柔らかい石のような使い魔。彼には本当の名前がある。 そう、生を受けた世界で彼は「くりまんじゅう」と。そう呼ばれていた。 ガリア王ジョゼフの待つリュティスの王城に風竜が降り立ったのは、間もなくの事であった。 「た、大変なのね!魔法学院でおかしな使い魔が召喚されて、それで、どんどん増えて、 そろそろこっちにも来ちゃいそうなの!」 「なんだと!魔法学院からここまでか?」 「シャルロットは!シャルロットは無事なのかい!?」 「大丈夫なのね、全部やっつけられるほどゆっくりじゃないけど、押し潰されるほど早くもないのね」 一通りの状況を掴んだジョゼフは、いかに対処すべきかと知恵を働かせ始めた。 その傍らでしきりに頭をかいているのは、オルレアン公シャルル。 ガリア王ジョゼフの弟であり、王を影に日向に支えてきた人物。シャルロットの父でもある。 「それにしたって僕の娘が、そして世界が大変なのは間違いない!兄さん、一緒に来てくれるかい?」 「当然だ、我が弟。我らには…」 ジョゼフはそこで言葉を切り、玉座の裏から奇妙な形の箱を二つ取り出して、にやりと笑った。 それを見たシャルルはわが意を得たとばかりに頷くと、重々しい決意の篭った声で呟いた。 「自分の力ではどうしようもない時…ド・ラ・エモンの言ったその時がついに来たんだね、兄さん」 魔法学院は、既にそのほとんどをくりまんじゅうによって埋め尽くされていた。 魔法の使えないルイズや使用人たちは分裂が起こるたびに右往左往し、 その上に浮かんだ生徒や教師が魔法を使って何とか事態を収拾しようとするが、 圧倒的なくりまんじゅうの物量の前になすすべもなくただ浮いている、そんな状況である。 そんな状況の中。空中に桃色の扉が現れて、二人の人物が飛び出した。 言わずと知れたガリア王ジョゼフと、オルレアン公シャルル。 シャルルの箱から取り出された「どこでもドア」が、二人を一瞬にして魔法学院に誘ったのだ。 二人は空中から状況を俯瞰し、その圧倒的な物量に言葉を失う。 「これは…」 さすがのジョゼフも、どう対処していいのかわからない。 「兄さん、どうしたらいいんだろう!?」 「心配するな、ド・ラ・エモンはこんな時のために、おれにもこれを残して行ってくれたのだ」 そう言ったジョゼフは、小脇に抱えた奇妙な形の箱を置くと、蓋を開いた。 中にあったのは、円筒形の太く短い棒のようなもの。杖にしてはすこし太すぎるような気がするが… ジョゼフは迷うことなくそれを掴み、天高く掲げて雄叫びを上げた。 「ビッグライト~!」 それが収まっていたその脇には、ハルケギニアの文字で「ビッグライト」と書かれているようだ。 二人はたがいにその光を浴びせあい、学院の塔のその上まで届く高さにまで巨大化し、 そして、学院中に広がったくりまんじゅうをわしづかみにして、食べ始めた。 殲滅が始まった。そのやわらかい物体をお菓子と睨んだジョゼフの推測は、どうやら当を得ていたらしい。 だが、あまりに量が多いために、殲滅は遅々として進まない。 「兄さん、僕らだけじゃ食べきれないよ!」 「困ったな、おれもだんだん腹いっぱいになってきたぞ」 弱音を吐いた二人の前に、呆然と父の姿を凝視していたシャルロットが現れた。 「何をしてるの?」 「おおーシャルロット!いいところに来た!何か知恵はないか?」 「うむ、このお菓子を殲滅せんと二人で頑張ってるわけなのだが…そろそろ限界が近くてな」 「なーんだ、簡単だよ。二人でダメなら、皆で食べればいいじゃない」 満腹の腹に無理やりくりまんじゅうを押し込んでいた二人は、思わず顔を見合わせた。 「ははは、そうか!ここには立派な貴族たちがたんといらっしゃるじゃないか!一緒に世界を救ってもらえばいいんだね!」 「よし、シャルロット、この『ビッグライト』を使って、皆さんに協力してもらいなさい」 「うん!」 シャルロットはビッグライトを受け取って、魔法学院の教師・生徒たちに事情を説明し始めた。 男子を中心に志願者が多く集まり、次々とライトの光を浴びては、くりまんじゅう殲滅に参加してゆく。 そんな中、マリコルヌは志願者に加わらず、とあるチャンスを一心に待っていた。 そう。聡明な男子なら既にお気づきであろう、『見える』瞬間。 ビッグライトの光を浴びた女子が無防備にスカートの下を曝け出し、 巨大なレース編みのそれを拝む、ただその一瞬のためにマリコルヌは名誉を捨てた。 マリコルヌの心臓が早鐘を打ち、いまかいまかとその瞬間を待ち構える。 しかし、マリコルヌは見落としていたのだ。 ビッグライトを使うのがシャルロットであり、シャルロットは実に聡明な女子であるという事実を。 すなわち、シャルロットはマリコルヌに視線を走らせ、男子だけを巨大化させた。 巨大化したマリコルヌは、その憤りを全てくりまんじゅうにぶつけた。否、そうするしか、なかった…。 こうして、くりまんじゅうは跡形もなく消え去った。 だが、ゼロのルイズがいるかぎり、第二第三のくりまんじゅうが召喚されないという保証はどこにもないのだ。 「兄さん、何とかなったね。これからも、一緒に頑張っていこうね」 「ああ。何と言っても、ド・ラ・エモンとの約束だからな。皆、仲良くしないと…な」 ド・ラ・エモン。君が出て行って、おれの部屋はがらんとしちゃったよ。今日も君がいてくれたらって何度思ったかもしれない。 でも、おれが守る。君が素敵だって言ってくれたこの世界を、おれが絶対に守るから。 だから安心して、ノビ・ノビタ君のそばにいてやってくれよな。
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ゼロの使い魔 (全13話終了) 01 ゼロのルイズ 02 平民の使い魔 03 微熱の誘惑 04 メイドの危機 05 トリステインの姫君 06 盗賊の正体 07 ルイズのアルバイト 08 タバサの秘密 09 ルイズの変心 10 姫君の依頼 11 ルイズの結婚 12 ゼロの秘宝 13 虚無のルイズ
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アヌビス神② これまでのあらすじ。 ブチャラティ、イルルクゥ(=シルフィード。以下本編以外きゅいきゅいで統一) →ゴロツキから逃走中、同行中の金髪の青年の名がウェールズと判明。 キュルケ →『アヌビス神』のスタンドによって操られたタバサと戦闘中。 たまたま居合わせたホル・ホースが巻き込まれた。 ルイズ →城下町を一人遭難中。財布、ブチャラティの『ジッパー』で体内に。取り出せない。 次より本編スタート。 トリスタニアの城下町は今、二つの事件が壮大なハーモニーを奏でるかのように その空気を大きく震わせ、町中に及ぶ大規模な混乱を起こしていた。 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは 帝政ゲルマニアの旧家であるツェルプストー家の娘として生まれた。 トリステインに来る前は帝政ゲルマニアのヴィンドボナ魔法学校に通っていたが、 ちょっとした事件がきっかけでこの学校を『中退』することになった。 しかし中退した後は親が縁談を執拗に勧めて来るようになり、嫌気がさしたキュルケは 退学した自分の唯一の逃げ道であり親の手が伸びてこない外国のトリステイン魔法学院に『留学』した。 彼女は昔から己の情熱の赴くままに行動する女だった。子供のころから欲しい物があれば力ずくで奪ってきたし、 他人に文句を言われようものなら得意の『炎』で黙らせた。 (実はそれが退学に繋がる事件の原因だったのだが…。) トリステインに留学した後もキュルケは自分の我を通し、多くの男子の心を虜にしては その恋人にあたる女子からは忌み嫌われ続けた。 「自分の恋人を取るのが許せない?だったらどうして自分の部屋に閉じ込めておかないの? そんなに大事ならそれくらいするべきだわ。」 「あなたたちからは恋人を繋ぎとめておこうと言う努力が感じられない。だから彼らは私の元に 集まってくるのよ。」 「本当に一番大事ならすでに私の首から上は飛んでなくなってしまっているはずだもの。 本当に一番大切な物だったら私だって取ろうとはしない。私だってまだ生きていたいもの。 本当に一番大事な物を奪うときは私は杖を、命を賭ける。それくらいの『覚悟』で挑むわ。本当に一番大事なら。」 彼女は大抵嫉妬して突っかかってきた女子にはそう言ってあしらっていた。 そんな強引で唯我独尊な彼女だから仲のいい友人なんてまったくできず、彼女も孤独でも別にいいと考えていた。 そんな時に彼女はタバサと出会った。 タバサもまたキュルケとはまた違った理由で孤独だった。 強引で周りから野蛮扱いされ、奪い取った恋人の数は今まで食べたパンの数のように分からない 『色狂い』女とまで言われたキュルケに対し、タバサはまるでしゃべらない。まるで人を寄せ付けない 氷のようなオーラを纏っていたようだった。 入学式で始めて会った時はお互いいい印象を持たなかったが、ド・ロレーヌたちの策略で決闘騒ぎを起こした時、 お互いの実力と誤解がわかり、キュルケが仕返ししてからはタバサとは親友同然の仲になったがそれはまた別の話である。 キュルケとタバサは本当に正反対な性質の人間だった。だからこそ惹かれあったのだろうか。 何より彼女たちはお互いに余計な詮索をしたりしない。タバサはそのあまり開かれることのない 口によって、キュルケは年長の気配りで。お互いがお互いを気に入り、 日を追うごとに彼女たちの仲はどんどん親密になっていった。 だが、キュルケはある夜タバサの知らなかった一面を見ることになる。 それは月明かりの綺麗な夜。キュルケはいつものように男たちを弄んで部屋に戻ろうと していた時に見た。 満月にはまだ早かったが、キュルケの目が空を舞う『それ』を見つけるには十分な月明かりだった。 「風竜…。シルフィードだわ。タバサったらこんな時間までどこにでかけてたのかしら。」 そう思ったときキュルケは思い出した。タバサは先日誰かから呼び出しを食らって飛んでいったきり しばらく姿を見せてなかった事を。 少し疑問に思いながら、足はタバサの飛んでいく方向に向かう。 タバサの着地した地点から後を追い続けていると廊下でタバサは止まる。 キュルケが慌てて物陰に隠れて様子をうかがうとタバサは窓の外を見ている。 月を見ているのだろうと素直に思った。今日の月明かりはそれほど綺麗だ。 だがキュルケは目をこらしてみて、様子がおかしいことに気付いた。 物思いに耽っているように見えたタバサの顔が月明かりに照らされた時に タバサの目からひとすじの涙が浮かんでいたことがわかったのだ。 声はあげない。まるで自分にこれ以上泣いてはいけないと無理強いをするように。 「タバサ…?どうしたの?」 気がついたらキュルケは近寄って身を案じていた。直情的で口より先に手が出る彼女には目の前で 親友が涙を流している所をほおって置ける器用さはない。 「いい。なんでもない。」 だがタバサはそんなキュルケの差し伸べた手を払った。 「でも…。涙を流しておいて何もないって事は…。」 「目にゴミが入っただけ。」 嘘だ。そんな涙かどうかくらいキュルケにはすぐわかる。 「本当に、なんでもない…。」 そのよそよそしい様子でわかった。ああ、わけありなんだなと。 例のタバサの訳ありな事情が関係してる以上これ以上深入りしても彼女は自分を拒絶するだろう。 一体、あの涙はなぜ流れたのだろう。なぜあの子は傷ついているのだろう。 理由を聞いても彼女は口を閉ざすだろう。きっと彼女の触れてはいけない所の問題なのだろう。 キュルケは悔しかった。あんな小さな子に一体どんな重荷を誰が背負わせたのだろう。 そして誓った。これは確かに彼女の問題だ。私が首を突っ込むべき問題ではない。 だがいずれはこの私が。彼女が助けを求めたとき、誰よりも私があの子の力になろうと。 私の唯一の親友を絶対に助けようと誓った。 『ウインディ・アイシクル』をすんでのところで交わしたキュルケをあざ笑うかのようにタバサが見据えている。 「なるほどな。メイジを操るとその魔法まで使用可能ってわけか。」 タバサの体で『アヌビス神』が感心したように操った体を見る。 いつものタバサと比べて明らかに表情豊かなのにその目には一点の光もない。 「こいつの魔力ってやつはどうやらメイジのなかでも優秀のようだな。 それに加えおれの能力。こいつはいい体をいただいたぜ!」 キュルケは目の前の現状に打ちのめされていた。 あ、ありのままに今起こったことを話すわ! 『私はタバサと一緒に武器やで買い物をしていると思ったら 突然タバサが刀剣に操られて襲ってきた。』 な…何を言ってるのか わからないと思うけど私も何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…。 薬物中毒だとか過去の仇敵だとかそんなチャチなものじゃあ断じてない… もっと恐ろしい精神操作の片鱗を味わったわ…。 といった具合で混乱している。 「さて、こいつの記憶から見たところお前の実力もトライアングルだそうだな。 いい感じだ。12年ぶりのウォーミングアップにはちょうどいいぜ。」 タバサが刀と杖を構えキュルケに飛び掛る。 「まず腕ごなしにお前の命、もらいうけるッ!!」 「で?なんで偶然通りかかっただけの僕がお前の買い物に付き合わないといけないんだ?ギーシュ。」 意気揚々と歩くギーシュの後ろでマリコルヌがカメムシを噛み潰したような顔でぶつくさ言う。 両手には綺麗にラッピングされたプレゼントが大量に抱えられている。 そして負けず劣らずの量のプレゼントを持ったギーシュが 「いいじゃあないか。君と僕の仲だろう?後で礼ははずむよ。」 「礼?へえ礼ね。何さ?」 「えっと…。そのへんで昼食おごるよ…。」 ギーシュが遠慮がちに言うとマリコルヌが急に笑顔で答える。 「ハハハ。昼食かあ。まさに僕にうってつけの礼って奴だね。ハッハッハッハ!!」 「ア…ハハハハハハハ・・・・。」 「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!『エア・ハンマー』。」 ドゴォッ!! 呪文と同時にギーシュの体が吹っ飛んだッ!! 「ぐっ、ゴホッゴホッ!!何をするマリコルヌッ!!」 「調子にのるなよギーシュ!いい加減我慢の限界だ。」 ギーシュの神経を背中に表面の濡れた氷を滑らせたような感覚が走るッ!! (こいつのこの目は…!うおおお!この目はやばいッ!!) 「もてないっぷりで張り合えば負けなどないとまで言われたこの僕が何が悲しくて女性向けの プレゼントの荷物もちをやらされなきゃあいけないんだ?FROMの欄に全部お前の名が表示されてるこのプレゼントをよぉ!?」 マリコルヌの目がまさに十年は修羅場をくぐり続けてきた男のような目になる。ヤバイ。マジでヤバイ。 今の奴ならコンマ5秒で十人は殺せる。その際終わった後で「ぶっ殺す!!…あ、終わってた。」と言うであろうほどにッ!! この男の危険性がぐんぐんあがっているッ!! 「今決めたぞギーシュ!!これから僕はおまえを『エア・カッター』でバラバラに切り刻むッ!! コンプレックスの塊がキレたらどうなるかを今から 『『エア・カッター』!!』 でその身に教えてやるッ!!」 「・・・・?」 ギーシュは違和感を覚えた。今誰かと台詞がハモらなかったかと。 だがそれは気のせいではなかったことを身をもって知ることになる。 バキィッ!! まさに不意打ちッ!!すぐ横の建物から本物のカッターが飛んでくるッ!! 「こ、これは!?」 予想だにしていなかった。まるで予想外のタイミングで刃が飛んでくるとはまるで考えてなかった。 「ぼ、僕じゃない…建物から…?ギーシュ?大丈夫かッ!?」 怒りが恐怖で吹き飛んだマリコルヌがギーシュの近くに寄るッ!! だがギーシュはどうやら無事だったのか、立ち上がる。 だがその服のわき腹に切れ目があった。少々負傷したようだ。 「ギリギリ大丈夫さ…。だが今のはメイジの呪文だぞ?あんな建物の中でトラブルか?」 土煙が晴れた瞬間二人の顔が青ざめた。その二人の顔が見覚えあるものだったからだ。 そして今の衝撃の余波で外に放り出されたホル・ホースは倒れて気絶したふりをしながら考える。 「なんてこった…。先こされちまうとはよぉ…。どうやらテルは無事みてぇだがあの赤毛の子の足元か。遠すぎる。 どうする…?戦うか?いやだめだ。おれのモットーは『ナンバー1よりナンバー2』だ!相棒の力を最大限に引き出して 援護するなりさせるなりして戦うのがおれだ。なにより奴は真正面から戦って勝てる相手じゃあねえんだよなクソッ! ましてや操られてるのは無関係の女じゃねえか。おれは女だけは絶対に撃たねえ…。」 「君達!!何をやってるんだ!?」 ギーシュがキュルケに駆け寄る。 だがキュルケはすごい剣幕で叫ぶ。 「来ちゃダメッ!!攻撃されるわ!!」 時はすでに遅かった。ギーシュの方向にタバサが飛び掛るッ!! 「君には恐れ入った…。あの殴る瞬間に素早く手配書を奪い取ってたとはね。 抜け目がないというか、なんて大胆なやつなんだろうと言うか…。」 ウェールズがまた「してやられた。」と言った表情で軽く手を上げる。 そんなウェールズを手元の手配書と見比べながらブチャラティは言う。 「おまえは何者だ?これには顔と名前しか書いてないからお前が何なのか全然わからない。 嫌でも答えてもらう。 お前はなんだ?何が目的だ…?」 ウェールズは重々しく口を開く。 「彼らに僕を捕らえるように言ったのはおそらく僕の母国、アルビオンでクーデターを起こした 貴族派の集団『レコン・キスタ』の手のものだろう。」 「『レコン・キスタ』…。」 ブチャラティは頭の中にその名をメモしておく。 「そして彼らが僕を狙うのは僕が『土くれのフーケ』と接触するのを阻止するためさ。」 土くれのフーケ。その名には聞き覚えがあった。 「知ってるの!!」 「うわっ!!」 イルククゥが突然口を挟んできた。 「フーケって言うのは貴族ばっかりを狙う泥棒なのね!お姉さまがおしえてくれた! いばってばかりの貴族たちの鼻をあかしてやるのが大好きで、犯行現場にはいつも 『お宝は頂戴した フーケ』とかかれたカードがあるって噂があるわ!きゅいきゅい!」 イルククゥはそういいながらまるでマンガの中に出てくるあこがれのヒーローを紹介するような目になっている。 子供かコイツはと思うのも無理はない。彼女はまだ200年しか生きてないのだから。 「それで、天下の大泥棒『土くれのフーケ』を何故お前が追っているのか?そのあたりを聞かせてくれ。」 ブチャラティがそう聞いた。 「『破壊の杖』と呼ばれるマジックアイテムがある。形状、用途は一切不明だが、それを使えばドラゴンやワイバーン ですら一網打尽にできる威力のある、いわば『兵器』だそうだ。」 ウェールズの顔に汗が滲む。場の空気はまた張り詰めていった。 「フーケの次の狙いはこれだ。そして『レコン・キスタ』はその『破壊の杖』という兵器とフーケと言う人材を狙っている。」 「なん…だと?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・。 「レコン・キスタって言うのは過激な集団でね。僕ら王党派を倒すためならどんな危険な代物だって自分の手中に入れて使おうと考えている。 そんな危険思想のために僕らだけではなく多くの民の血が流れ続けているんだ。 そんな事をこれ以上許すわけにはいかないんだ。なんとしてでも奴らより先にフーケに接触し、破壊の杖を確保するッ!!」 破壊の杖。ドラゴンやワイバーンですら一網打尽にできる兵器。 どんな代物か知らないがレコン・キスタはスタンド使いの配下の他にそんな兵器を手にしようとしている。 レコン・キスタは目的のために周りの無関係な人間すら平気で苦しめる。 頭の中でブチャラティは残酷な答えを叩き出す。そしてそれを尻目にイルルクゥはそれまでフーケがこの近くにいると言う事を今すぐタバサに教えようと、まるで偶然空に架かった虹を早く親に見せたいといった感じの子供のように無邪気な表情を青白く、不安げな顔に歪ませていた。 「お姉さま…?どうしてお返事してくれないの…?勝手に遊びに行っちゃったのは謝るから返事して…?」 彼女は使い魔の感覚共有の能力でタバサと会話しようとしたのだ。フーケの話を聞いてタバサに後で叱られるのは頭から飛んでいたのだろうか。だがそのタバサの声が聞こえない。タバサに何かあったようなのだ。 「お姉さま…。どうして声が聞こえない…?きゅい…。」 「そこで頼みがあるんだ、えっと…。君の名は?」 「ブローノ・ブチャラティだ。」 「そうか。ブチャラティ。その高い実力、僕らが今脅威とすらしている『スタンド使い』であり、それ相応のスタンドの知識を見込んで頼みがある。」 「頼み?」 ウェールズは今日一番の真剣さを持って言う。 「どうか、僕らアルビオン軍に協力してほしい。何も前線で戦ってほしいわけじゃあない。 まずフーケの捜索。後はスタンドの知識を僕らに分けてほしい。」 「・・・・・・・。」 「どうか引き受けてほしい。僕はこの戦争をなんとしても終わらせたいんだ…!」 ブチャラティは考え込んだ。昨日今日会ったばかりの奴に易々と協力していいものだろうか? その男に話したことで自分に不利な状況に追いこまれないという保障はどこにもない。 だが彼の戦争を終わらせたいと言う意思は、アルビオンの人間を救いたいと言う意思にウソは無かった。 ウソは言っていない皮膚と汗だ。 結果がどうなろうとその意思が本物だと言うのなら…。 「わかった。協力しよう。」 そう答えるのがブローノ・ブチャラティと言う人間だった。 「ひとまずここを離れよう。この町の中心にある広場で共に捜索してた仲間の隊とあと30分したら落ちあう約束になっている。」 「30分…わかった。だがその前に協力してほしいことがある。この町にオレの…。」 「見つけたぞッ!!!」 不意に、男の声が聞こえた。 「どこにいたズラ!?」 「そこの角に隠れてたぜ!フクロにしちまえッ!!」 「まずいッ!!ここはもう限界だ!早く逃げなくてはッ!!」 だがウェールズが焦るのをよそにブチャラティは追い詰められた壁を叩く。 「この壁の向こうはどこかに通じているようだな。」 ガツン!と音がしたところにジッパーが発現する。 「ウェールズ!イルククゥ!この穴から逃げるぞッ!!」 「いないズラ!どういうことズラ!?」 すでに誰もいない袋小路に小隊の先頭に立ってた男をズラズラ口調の男が胸倉を掴む。 「確かにここにいたんだッ!!魔法かなんかで姿を消したにちがいねえハズさッ!!」 「ふん。確かにこのかべの向こうは裏通りに通じてるが…。」 壁を叩いて壁が薄いのを確かめる。そして上を向いて壁をのぼるのは難しい事を確認する。 「どうやらこの壁の向こうに行ったみたいズラ。『フライ』で飛んだか…。」 男は髪の毛を抜き壁に指す。そしてレバーを操作するようにガチャガチャと動かすと四角く綺麗に穴が開いた。 「こうやって穴を開けて逃げたとか。全員突撃ズラッ!!」 「きゅい!まだ追ってきてるのッ!!」 「どこまでも追ってくるな。このままではラチがあかないぞ!」 逃げ続けながら後ろに控えるチンピラグループを睨む。 「手っ取り早いのは…。奴らの親玉を叩く事だな。」 ブチャラティが目の前の分かれ道を見る。 「二手に分かれよう。ウェールズ、左の道を行ってくれ。俺とイルククゥは右に行く。 …30分後に広場でまた会おう。そのときにスタンドについて話すと約束する。」 「わかった。協力感謝する。」 ウェールズと分かれ道で別れると、後ろのグループも二手に分かれて追ってきた。 狙い通り戦力は分散されたのだ。だが。 「あだッ!」 イルククゥが石につまずいてこけた。ブチャラティの目の前に倒れる。 「しっかりしろッ!顔を見られた以上、おまえも立ち止まったら間違いなく殺されるぞッ!!」 「うう…いたいよぉ…。きゅい。」 目の前の曲がり角を曲がった所でもう目と鼻の先に並ばれる。 「そこだズラッ!!」 だがそこには誰もいない。無関係に通行人すらいない。 「また逃げられたズラ!!まだ近くにいる。探せ!奴らをあぶり出すズラ!!」 だがその地点から離れたところでブチャラティたちはジッパーから出てくる。 地面にジッパーを使って潜り、遠くまで逃げたのだ。だがもう死体ではないので息が長続きしないため、あまり長くは持たない手段ではあるが。 「きゅい…ごめんなさい。」 「もういい。心配するな。」 物陰にかくれブチャラティが様子をみながらそう言う。 「えっと、今更だけど…助けてくれてありがとう。きゅい。」 「お前一人を残していくわけにもいかないだろう。お前本当はメイジじゃないんだろ?」 「えっ!?」 イルククゥが驚いた顔を見せる。 「お前の今日一日の行動を見ても俺の知ってる貴族のふるまいとはまるで違う。 そうだろ?魔法を使えないのに置いていくのは少し心苦しくてな。」 ブチャラティの鋭い観察眼に驚きながらもイルククゥは顔を赤くして弁解する。 「ま、魔法は使えるのッ!!」 「!?」 突拍子も無い一言にブチャラティは驚いた。 「魔法…本当は使えるのッ!!」 「…!!じゃあ何で使わないんだ?もっと早く魔法を使って助けてくれてもいいじゃあないか。」 「え!それは、その、杖を忘れて来ちゃったの…。だから、」 「ウソだろ。」 「う、違うわ!違うもん!本当は…。」 ベロンッ!! 「ふみゃッ!!」 焦るイルククゥの頬を伝った汗をブチャラティが舐めた。 「ふ…ふえ…。」 「ほら見ろ。ウソをついている。なんだか知らんがあまり強がるな。」 (そう、杖を忘れてきたのはウソだ。だが・・・・。) ブチャラティはイルククゥに背を向け考える。 (コイツは『魔法が使える』と言った時はウソをついてなかった。どういうことだ? 杖を忘れたのがウソならなぜ魔法を使わない?…わからない奴だ…。) ガジッ 「!!」 ブチャラティの耳にイルククゥが噛りついている。 「おい!おまえッ!」 「おかえひッ!ひゅうになめたりしておほろいはんだはらッ!! (訳:お返しッ!急に舐めたりして驚いたんだからッ!)」 まるで子供だ。とブチャラティは思ったに違いない。 「いいから離せ。」 「や~だ!はなさないんだからッ!きゅい!」 本当に、わからない奴だとブチャラティは思った。 「見つけたズラ!」 すぐそこにさっきの男がいる。 「しまった。とうとう見つかったか!」 「おれをずいぶんなめきってるみたいズラ。ふざけるなよ! お前らごときこの『鋼線のベック』にかかればお前らごとき簡単に八つ裂きズラ!」 べックは引っ掻き回された事をどうやら怒っているらしい。少し危険な状態だ。 「ど、どうしよう…。きゅい…。」 「やむをえない。一人くらいなら戦って倒すしかないな。」 ブチャラティはデルフリンガーを抜く。 「やった!とうとうオレの出番だッ!さあ思う存分使ってくれよッ!!」 一方。 「あ、危ないところだった…。」 ギーシュのワルキューレが『アヌビス神』の太刀を素早く受ける。 「油断は禁物よギーシュ!!こいつはスタンド使いよッ!!あの刀がタバサを操っている!!」 「ええ!本当かい!?」 タバサの顔で冷酷な表情を浮かべるアヌビス。 「へえ、結構対応がいいじゃねえかよ。土のドットメイジのくせによ。 このゴーレムを見ればすぐわかる。だが大した事はねーよな。」 おもわずムッとするギーシュは杖を真っ直ぐ構える。 「そんなことを言われてはこのギーシュ・ド・グラモン。舐められっぱなしでいるわけにはいかない。 彼女を返してもらおうッ!!」 「やれるもんならやってみなッ!!できるならよぉ~~~ッ!!」 ギーシュの目がマジになるッ!! 「行けッ!!ワルキューレッ!!」 ワルキューレの槍がアヌビスの刃を叩き払った! そのまま連打に繋げるッ!! 「バカが!こんな単純な手でオレに勝とうなんて、砂糖菓子より甘いぜ! そしてこのまま青銅のゴーレムなんざバラバラに切り刻んでくれるッ!!!」 熾烈な戦いは続いたッ!!だが時間がかかるごとにアヌビスが刻一刻と押していくッ!! 「ほらほらほらほらほら~~~~~ッ!!そんなスピードでは誰一人かないはしねーぜッ!!」 やがてワルキューレはバラバラに千切れ飛ぶ。だが…。 「『ワルキューレ』もう一体投下ッ!!そして久しぶりの…!」 ギーシュの詠唱とともに杖先に石の粒が一点に集まったッ!!そして! 「石礫だッ!!」 アヌビスに向けてワルキューレより我先にと飛んでいく!! だがアヌビスはあっさりと避けてしまう。 アヌビスがタバサの口で喋る。 「なかなかのスピードと言ったとこか。だがこれくらいの奴は今まで何度と見てきたから問題は無い。 今の攻撃、確かに覚えたッ!!!」 「『思い込む』と言うことは何よりも『恐ろしい』事だ…。しかも自分の能力や才能を優れたものと過信している時はさらに始末が悪い。言っておくが僕は違うぞ。 全ては己の弱さを認めた時に始まるッ!!」 ガシッ!! 後ろからタバサの両脇をワルキューレがおさえるッ!! 「なんだと!?いつの間に後ろにゴーレム用意したッ!?」 「たった今さッ!!さっきの礫に花びらが貼ってあったのが見えなかったみたいだな。 発射とともに貼り付けておいた花びらからワルキューレを生み出したんだッ!!」 ワルキューレの手がタバサからアヌビスを振り払おうとする。 「レディ相手に本気で暴力を振るうはずがないだろう。刀を手から離せば洗脳も解けるだろう? 真っ向から戦ってもかなわないなら搦め手だッ!!」 だがアヌビスからは余裕さがまるで崩れてない。 「可愛い事をやってくれるじゃあねーかよ ええ?『ギーシュ』。 たしか『ギーシュ』って名前だよな?てめーはよォ~~~。記憶によると 女に弱いすけこまし野郎らしいじゃねーか。」 「なっ、失礼な!僕はグラモン家の人間として紳士的にだな…。」 「『思い込む』と言うことは何よりも『恐ろしい』事だって?なるほど…おまえの言うことは本当に大切な事だ。 おまえはおれをただのあやつるだけの妖刀と『思い込んだ』。」 タバサが刀を自分のほうに向ける。 ズバッ!! むしろ爽快なくらいいい音を立てタバサは自分の体ごと斬ったッ!! 「何だと!?」 誰もが自分の目を疑っただろう。ワルキューレを自らの体ごと切るなんて誰も考えない。 キュルケは思わず口を押さえる。 「タバサッ!!」 「いや待てッ!!」 マリコルヌが指した先にはワルキューレが横に断たれたのにケロリとしているタバサ。 「こ、これはッ!!」 「遅いぜすけこましがッ!!」 次の瞬間、ギーシュは斬られていた。 音も無く。まるで気付かないうちに。 「うわああああッ!!」 「ギーシュッ!!!」 傷を抑えながらギーシュが考える。 (確かに斬られたのに服は全然斬れてない?奴の能力は…操るだけでなく 刃を透過させる事が出来るのか…?間違いない。こんな掟破りな手を使うのは『スタンド使い』だけだ! 僕自身、後ろに下がってなければ完全に急所をやられていた…!) ギーシュの手に震えが生じた時だった。 「逃げなさいギーシュ。ここは私がやるわ!」 キュルケが立ち上がった。その目には自慢の炎をともして。 「そうはいかないよ…!レディを一人危険に晒すわけにはッ!!」 「だったらこうしてはいかがかしら?この町にはブチャラティが来てるわ。 彼を連れてきて。こういうスタンドの対処法を知っているのは他でもない『スタンド使い』でしょうから。」 ギーシュが頭を抱える。自分の恐怖心に押しつぶされている。 そんな理由でこの場を離れても結局は逃げる事につながるのではないかと。 「一度逃げても、また立ち向かえばいいじゃない。」 キュルケがいつになく真剣な顔をする。 「早く行きなさいッ!!多分私にはコイツは倒せない。未知な上に、タバサの姿なのよ…。 ブチャラティを連れてきてッ!!」 ギーシュが拳を握り締める。そして…。 「マリコルヌ。ついてきてくれ。」 「え…?」 「『逃げる』んだよォーーーーーーーーーッ!!!!」 ギーシュは走り出した。その目に決意を示して。 アヌビスはそれを冷酷に見据える。 「フン、うまく言いくるめたじゃねえか。じゃあ…。」 「『ファイアー・ボール』ッ!!」 ドカンッ!! キュルケが怒りを震えさせて言う。 「あなたゲルマニアに行った事はあるかしら?」 「…ねーな。何の話だ。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・。 「ゲルマニアでは本当に一番大事な物を奪うときは命を賭けるの。文字通り。」 キュルケはアヌビスに向かって走るッ!! 「一番大事な人を捕らえたからには…あなたも命をかけることねッ!! この『微熱』のキュルケの炎はそのためならどんなものでも溶かし尽くすわッ!!」 to be continued・・・
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ルイズを見ながら私は声を出そうとして、 「が、ご、う、おぇえええええええええええ……」 「きゃ――――――――!?」 胃液を吐き出した。 「ちょ、ちょっと!?だれか―――!」 ルイズが慌しく部屋を出て行く最中、私は胃液を吐くのを止められなかった。 寝ていたベッドの毛布を取り替えてもらい右手と左手を確認してもらう。 そして、 「安静にしとりんさいよ。そうすりゃ自然に治るけ」 そういいながら医者(色気もない老婆だ)は部屋から出て行った。ルイズにはシエスタの家に行ってもらっている。デルフと猫を連れてきてもらいにだ。 さっき医者といったが学院のように水のメイジではない。 骨折や傷などの怪我の対処法に詳しい程度の人間だ。まあ、ここは田舎らしいので水のメイジなんていないだろう。 怪我に詳しい人がいただけで十分だ。出なけりゃ今負っている怪我の手当てをしてもらうことすら出来ないからな。 そして何故吐いてしまったのか?それは一つの体の変化が原因だった。 この変化をどう表現すればいいのか?答えはたった一つだ。 『痛』 これだ。漢字一文字で表現できる。 まず、自分の右手の小指と薬指が折れている。さらに左手も痛みで指一本動かせず、腹はまるで穴でも開けられたように異常な痛みを信号として脳へ送っている。 何故、こんなことになっているのか?もちろん予想はついている。おそらく、あの夢(厳密にいうと夢じゃないけど)が原因だ。 あの夢を、私はひどく鮮明に憶えている。 対峙したキラヨシカゲ。 傷つけられた右腕。 放たれた左手、シアーハートアタック。 自分の腹を貫通するキラークイーンの左腕、そのときの感触。 再び放たれたシアーハートアタックを受け止めるキラークイーンの右腕。 シアーハートアタックを右腕の能力で爆破したときの瞬間、そして同時に爆破される自分とキラヨシカゲの左手。 懐から銃を取り出しキラヨシカゲに狙いをつけたとき、絶望した表情のキラヨシカゲ。 キラヨシカゲの額に銃弾を撃ち込み頭を爆破し、自分自身の『世界』を、存在を確立した瞬間。 あの夢の全てを憶えている。今まで『幸福』を目指して行動してきたが、私はスタートラインに立ってもいなかった。 しかし、自分の『世界』を確立した瞬間、私はスタートラインに立つことができたのだ。その瞬間を忘れられるだろうか?忘れたくない、忘れられるわけがない。 私はキラヨシカゲだ。私という名の『キラヨシカゲ』なのだ。これからもずっと…… だが、そんないいことばかりではなかった。 それがこの痛みだ。腹と左手の尋常ならざるこの痛み、あの夢が原因だというのは明々白々だ。 イワシの頭も信心だ。あの夢の中で私が受けた傷が、思い込みで本物の肉体にも影響を及ぼしたのだろう。嫌なプラシーボ効果だ。 腹や左手や右手が異常に痛いだけで、シアーハートアタックの爆発の余波を受けた体も中々痛い。 さっき吐いたのはこの腹の痛みに体が拒絶反応を起こした結果だと思っている。そしてそれが答えだろう。 さて、ここで疑問が一つ出る。夢の中で私は右腕に傷を受けはしたが指を骨折したわけではない。 それにこの骨折は滅茶苦茶に折れている。手当てをしたばあさんがいうには指がねじれ折れていて、骨が肉を突き破り見えていたほどだという。 夢の中でこれと同じことをしても、現実で同じことになることはないだろう。せいぜい小指と薬指が動かなくなる程度だ。 指が勝手に捻れるか?捻れるわけがないだろ?いくら指に力を入れたところで指がひとりでに捻れ、あまつさえ折れるなんてありえない。 人間の指はそんな風にできていない。じゃあなんで折れてるんだ!? まったくわかんねぇ! クソッ!腹が立つ!痛いしこれじゃ右腕が不自由だしよ!左手も使えないんだぞ? これじゃあデルフを握れないかもしれないじゃないか!あ、デルフを持てばガンダールヴの効果が発動するから痛みが抑えられるじゃないか。 だったらこの痛みに対処する方法は武器に触れてガンダールヴの効果を発動させておくことだ。何か手近な武器といえば…… 銃だ。いつも懐に入れているんだ。右手が痛むが何とか懐から銃を取り出し……あれ?今気がついたがこれは私の服じゃないぞ? 辺りを見回すと私の服が少し離れたテーブルの上に畳まれている自分の服を発見した。服の上には銃が置かれている。 誰かが触れたのだろう。興味本位で弄くられはしていないだろうか?まさか暴発はしてないよな? まあ、今そんなことを考えても仕方がない。問題はあの銃を自分の手の内に納めることができるかどうかということだ。 そして答えは不可能。明らかに無理だ。 まず痛みで動けない。ベッドから転げ落ちただけでも想像を絶する痛みが全身を襲うだろう。 ではキラークイーンで取ればいいのではないか?それも不可能、射程範囲外だ。キラークイーン自体この痛みで出せそうにない。 出す意思も挫かれる。まったく、夢の中ならいくらでも我慢できるのにどうしてこんなときは我慢できないのだろうか? それとも夢だから我慢できたのか?多分後者だろう。夢だからな。そのときの心意気がダイレクトに反映されたんだろう。 「う……いつつ…………」 それにしても痛い!痛すぎる!また新たに気がついたが顔も痛い。 何かに思いっきりぶつかった、あるいはぶつけられた感じだ。右手で触れてみると明らかに腫れている。 なんで腫れてんだ?どうして指が折れてるんだ?なんで服が着替えさせられてんだ?そういえばルイズも頭に包帯してたな。一体何がどうなっていやがる? キラヨシカゲと対峙していた空白の時間に何があった!? そんなことを思っていると、ドアが開き誰かが入ってくる。入ってきたのはルイズとシエスタだった。 ルイズはデルフを抱え肩に猫を乗せ、シエスタは手にバスケットを持っている。 「ヨシカゲさん……。よかった、起きたんですね」 私を見たシエスタの第一声がそれだった。目は少し涙ぐんでいる。なぜ?それに起きた? 「不思議そうな顔してるから答えるけど、あんた3日も眠ってたのよ」 「…………~~~!?」 声に出して言おうとしたが痛みで声が出せず悶絶する。しかし、3日だと!?私は3日も夢の中にいたのか!? 「何言ってるんですか!ミス・ヴァリエールだってヨシカゲさんが起きる少し前に起きたばっかりじゃないですか!本当はまだ寝てなさいって言われてるのに」 「いいのよ。ちゃんと起きたし頭に怪我してるだけで他には悪い所なんてないんだから。それと」 ルイズがデルフを壁に立てかけ子猫を床におろす。 「あんたが言ったとおりちゃんと持ってきてあげたわよ。勘違いしないでよ?たまたまシエスタの家に行く用があったついでなんだから」 ありがたいが、デルフにも猫にも皆ギリギリで手が届きそうにない。もしかして嫌がらせか? そう思っているとルイズが机の上から銃を手に取りこちらに放り投げてくる。そして銃は何事もなく私のベッドの上に落ちた。 っておい!あぶねえ!暴発したらどうする! 「お守りなんでしょ?持ってなさいよ」 そういや前にお守りとかいったような記憶がある。あれを真に受けてたのか。別にいいけど。 銃に触れるとルーンが光り体から痛みが引いていく。よかった。これであの痛みから解放される。 「あの、ヨシカゲさん。起きたお祝いに私料理作ってきたんですけど食べませんか?もちろんミス・ヴァリエールも一緒に」 「わたしがおまけみたいに聞こえるんだけど」 「そんなことありませんよ~?」 ルーンの効果も発動して腹の痛みも殆んどなくなってるから食えるはずだな。よし、 「それじゃあ、いただこうか」 こうして私のベッドに二人が座り食事を始まった。そして2分後、二人の目の前で吐いてしまった。 痛みがなくなっているだけでダメージが回復しているわけではないというのを思い知りながら私は二人に謝った。